移動順序と泳動液に含まれる成分,ポリアクリルアミドゲル電気泳動 90回薬剤師国家試験問29
90回薬剤師国家試験 問29
電気泳動法に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 電気泳動移動度は物質に固有であり、温度には依存しない。
2 同一pHにおけるイオンの移動順序は、泳動液に含まれる成分によって影響を受けない。
3 pH2.0の泳動液を用いてろ紙電気泳動を行うと、グリシンは負極方向に泳動される。
4 ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、低分子化合物の分離に適している。
5 キャピラリー電気泳動が高い理論段数を示すのは、泳動液の流れが層流であるためである。
90回薬剤師国家試験 問29 解答解説
◆ 1について
1 × 電気泳動移動度は物質に固有であり、温度には依存しない。
電気泳動移動度は同一条件下では物質に固有の値を示す。
しかし、温度などの条件が変化すれば、電気泳動移動度の値は変化する。
詳細は下記のリンク先を参照
電気泳動移動度 90回問29の1
◆ 2について
2 × 同一pHにおけるイオンの移動順序は、泳動液に含まれる成分によって影響を受けない。
例えば、泳動液に含まれる成分によって泳動液のイオン強度が変化すると、
同一pHでもイオンの移動順序が変わる可能性はある。
◆ 3について
3 〇 pH2.0の泳動液を用いてろ紙電気泳動を行うと、グリシンは負極方向に泳動される。
泳動液のpHが2.の場合、
グリシンは正電荷を持つため、
陰極方向に泳動される。
詳細は下記のリンク先を参照
グリシンの電気泳動 90回問29の3
◆ 4について
4 × ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、低分子化合物の分離に適している。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、
ゲルの分子ふるい効果を利用して分子量により各成分を分離する電気泳動であり、
タンパク質や核酸などの高分子化合物の分離に適している。
◆ 5について
5 × キャピラリー電気泳動が高い理論段数を示すのは、泳動液の流れが層流であるためである。
→ 〇 キャピラリー電気泳動が高い理論段数を示すのは、泳動液の流れが栓流であるためである。
詳細は下記のリンク先を参照
キャピラリー電気泳動の栓流 90回問29の5