95回薬剤師国家試験問28 電気泳動法
95回薬剤師国家試験 問28
電気泳動法に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、一般に、タンパク質はそのアミノ酸残基の数に比例したSDS分子が結合した状態で泳動される。
b アガロースゲル電気泳動でDNAが分子サイズによって分離できるのは、DNAごとに単位電荷当りの質量が異なるからである。
c 溶融シリカ ( fused silica ) 製の毛細管に pH7.0の電解質溶液を満たしてキャピラリー電気泳動を行うと、陽極から陰極に向かう電気浸透流が発生する。
d キャピラリー電気泳動では、電気的に中性の物質を分離することはできない。
95回薬剤師国家試験 問28 解答解説
◆ aについて
a 〇 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、一般に、タンパク質はそのアミノ酸残基の数に比例したSDS分子が結合した状態で泳動される。
SDS-PAGEでは、
平均してタンパク質のアミノ酸残基2つあたり1分子のSDSが結合する。
詳細は下記のリンク先を参照
SDS-PAGEの原理 99回問98の2
関連問題
SDS-PAGEのタンパク質とSDSの相互作用 89回問29の1
◆ bについて
b × アガロースゲル電気泳動でDNAが分子サイズによって分離できるのは、DNAごとに単位電荷当りの質量が異なるからである。
→ 〇 アガロースゲル電気泳動でDNAが分子サイズによって分離できるのは、単位電荷当りの質量がDNAの種類によらず一定だからである。
DNAでは、ヌクレオチド1つにつきリン酸基が1つ存在し、
リン酸基はプロトンを解離して陰イオンとなっている。
よって、DNAは負に帯電し、単位電荷当たりの質量
(または単位質量当たりの電荷数)はDNAの種類によらず一定である。
そのため、アガロースゲル電気泳動ではDNAを分子サイズによって分離できる。
◆ cについて
c 〇 溶融シリカ ( fused silica ) 製の毛細管に pH 7.0の電解質溶液を満たしてキャピラリー電気泳動を行うと、陽極から陰極に向かう電気浸透流が発生する。
詳細は下記のリンク先を参照
キャピラリー電気泳動の電気浸透流 100回問98の1,4
◆ dについて
d × キャピラリー電気泳動では、電気的に中性の物質を分離することはできない。
キャピラリー電気泳動の1種であるミセル動電クロマトグラフィーでは、
中性物質の相互分離が可能である。
詳細は下記のリンク先を参照
ミセル動電クロマトグラフィーの原理 100回問98の3