96回薬剤師国家試験問28 フューズドシリカを用いたキャピラリー電気泳動法
96回薬剤師国家試験 問28
フューズドシリカを用いたキャピラリー電気泳動法(CE)に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 液体クロマトグラフィーと比較して、CEで試料の拡散が少ないのは、電気浸透流が栓流であるためである。
b pH4以下の酸性溶液中では、陰極から陽極に向かう電気浸透流が発生する。
c ミセル動電クロマトグラフィーでは、中性物質とともにイオン性物質の分離も可能である。
d キャピラリーゲル電気泳動法は、ペプチドのアミノ酸配列決定に広く用いられている。
96回薬剤師国家試験 問28 解答解説
キャピラリー電気泳動の概要は下記のリンク先を参照
キャピラリー電気泳動とは(大塚電子株式会社さん)
◆ aについて
a 〇 液体クロマトグラフィーと比較して、キャピラリー電気泳動法(CE)で試料の拡散が少ないのは、電気浸透流が栓流であるためである。
詳細は下記のリンク先を参照
キャピラリー電気泳動の栓流 90回問29の5
◆ bについて
b × pH4以下の酸性溶液中では、陰極から陽極に向かう電気浸透流が発生する。
→ 〇 pH4以上の溶液中では、陽極から陰極に向かう電気浸透流が発生する。
フューズドシリカを用いたキャピラリーの内壁にはシラノール基(Si−OH)が存在している。
シラノール基は弱酸性の官能基であり、溶液のpHが3〜4以上でプロトンを解離して陰イオン(Si−O-)になりやすくなり、そこへ陽イオンが集まって電気二重層を形成し、
集まった陽イオンが陽極から陰極へ向かう流れで電気浸透流が発生する。
詳細は下記のリンク先を参照
電気浸透流の原理 pH変化と泳動速度 100回問98の1,4
◆ cについて
c 〇 ミセル動電クロマトグラフィーでは、中性物質とともにイオン性物質の分離も可能である。
詳細は下記のリンク先を参照
ミセル動電クロマトグラフィーの原理 100回問98の3
◆ dについて
d × キャピラリーゲル電気泳動法は、ペプチドのアミノ酸配列決定に広く用いられている。
キャピラリーゲル電気泳動法は、
ゲルの分子ふるい効果を利用し、
タンパク質やペプチド,DNAなどを分子量に応じて分離する方法であるが、
ペプチドのアミノ酸配列の決定には用いられない。