懸濁粒子の沈降速度とストークス式 101回薬剤師国家試験問175
101回薬剤師国家試験 問175
球状の医薬品懸濁粒子は、溶媒中を次式で表される速度で沈降する。次の記述のうち正しいのはどれか。2つ選びなさい。ただし、設問中のパラメータ以外は変化しないものとする。
1 本式は、等加速度沈降している場合に成立する。
2 粒子径が1/3倍になれば、粒子の沈降速度は1/9倍になる。
3 溶媒の粘度が上昇すれば、粒子の沈降速度は増大する。
4 粒子密度が小さくなれば、粒子の沈降速度は低下する。
101回薬剤師国家試験 問175 解答解説
◆ 1について
1 × 本式は、等加速度沈降している場合に成立する。
→ 〇 本式は、等速度沈降している場合に成立する。
懸濁液や乳濁液などの分散系において、
球状の粗大粒子(粒子径1μm以上)の分散沈降(自由沈降)の速度は、
設問のストークスの式で表される。
ストークス式の成立条件として、
粒子が球形であること、
粒子が等速で沈降している(加速度0である)ことが挙げられる。
◆ 2,3,4について
2 〇 粒子径が1/3倍になれば、粒子の沈降速度は1/9倍になる。
3 × 溶媒の粘度が上昇すれば、粒子の沈降速度は増大する。
→ 〇 溶媒の粘度が上昇すれば、粒子の沈降速度は低下する。
4 〇 粒子密度が小さくなれば、粒子の沈降速度は低下する。
下記のストークス式より、
粒子の沈降速度は粒子径の2乗に比例する。
したがって、粒子径が1/3になると、分散粒子の沈降速度は、
(1/3)2 = 1/9 になる。
粒子の沈降速度は溶媒の粘度に反比例するため、
溶媒の粘度が上昇すれば沈降速度は低下する。
粒子の沈降速度は粒子密度と溶媒の密度の差(ρp−ρf)に比例するため、
粒子密度(ρp)が小さくなれば、粒子の沈降速度は低下する。
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