エマルションの安定性に関する記述 86回薬剤師国家試験問173
86回薬剤師国家試験 問173
エマルションの安定性に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 一般に分散相が合一したエマルションは振り混ぜると容易に再分散されるが、クリーミングを起こしたエマルションは再分散されない。
b 一般に内相と外相の容積率が等しいとき、最も不安定なエマルションを生成する。
c HLB値が7より小さい界面活性剤を用いると、安定なO/W型エマルションは生成しない。
d エマルションの微細な液滴の凝集において、液滴が静電的反発力によるエネルギー障壁を乗り越えるほどの熱エネルギーを持っている場合には、不可逆的な凝集となる。
86回薬剤師国家試験 問173 解答解説
◆ aについて
a × 一般に分散相が合一したエマルションは振り混ぜると容易に再分散されるが、クリーミングを起こしたエマルションは再分散されない。
一般に分散相がクリーミングを起こしたエマルションは振り混ぜると容易に再分散されるが、
凝集または合一を起こしたエマルションは再分散されない。
詳細は下記のリンク先を参照
クリーミングと合一の再分散性 86回問173a
◆ bについて
b × 一般に内相と外相の容積率が等しいとき、最も不安定なエマルションを生成する。
エマルションにおいて、
内相である物質を加えていき、
内相の容積比率が74%付近になると、内相と外相が入れ替わるエマルションの転相が起こる。
よって、エマルションは内相の容積比率が74%付近で最も不安定になる。
◆ cについて
c 〇 HLB値が7より小さい界面活性剤を用いると、安定なo/w型エマルションは生成しない。
詳細は下記のリンク先を参照
エマルションの型と界面活性剤のHLB 86回問173c
◆ dについて
d 〇 エマルションの微細な液滴の凝集において、液滴が静電的反発力によるエネルギー障壁を乗り越えるほどの熱エネルギーを持っている場合には、不可逆的な凝集となる。
エマルションにおいて、液滴間に静電的反発力が働くことにより液滴同士が凝集せずに分散状態を保っている。
液滴が静電的反発力によるエネルギー障壁を乗り越えるほどの熱エネルギーを持っている場合には、液滴同士が凝集する。エマルションにおける凝集とは、分散相の液滴同士がくっついて集合体となることであり、これは不可逆的な変化で振り混ぜても再分散されない。