粒子径・分散媒の粘度の変化による沈降時間の変化 92回薬剤師国家試験問166

92回薬剤師国家試験 問166
医薬品の懸濁剤を調製したところ、粒子が速やかに沈降して使用しにくかった。そこで、沈降速度を調整するため、医薬品粉末の粒子径を1/4の大きさとし、分散媒を粘度が1.5倍で密度が同一の液体に変更した。このとき、沈降に要する時間はもとの何倍になるか。最も近い数値を選べ。ただし、医薬品は同一粒子径の球形粒子からなり、分散媒には溶解しない。また、粒子の沈降過程はストークスの式に従うものとする。

 

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92回薬剤師国家試験 問166 解答解説

 

正解は5の24である。

 

懸濁液や乳濁液などの分散系において、
球状の粗大粒子(粒子径1μm以上)の分散沈降(自由沈降)の速度は、
下記のストークスの式で表される。

 

粒子径・分散媒の粘度の変化による沈降時間の変化 92回薬剤師国家試験問166

 

ストークス式より、球形粒子の沈降時間tについて次のことがいえる。
・粒子の沈降時間は粒子径の2乗に反比例する。よって、粒子径が1/4倍になると、沈降時間は42=16倍になる

 

・粒子の沈降時間は分散媒の粘度に比例する。よって、分散媒の粘度が1.5倍になると、沈降時間は1.5倍になる。
以上より、粒子径が1/4倍になり、かつ、分散媒の粘度が1.5倍になると、
粒子の沈降時間は、16×1.5=24倍になる。

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