エマルションの乳化型の判定 92回薬剤師国家試験問170d
92回薬剤師国家試験 問170
エマルションの乳化型の判定に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a スダンVを少量添加してエマルション全体が着色するとo/w型である。
b エマルションの電気抵抗はo/w型の方がw/o型に比べて小さい。
c 水で希釈して容易に混ざり合うとw/o型である。
d エマルションに水を加えると粘度が低下し、油を加えると粘度が上昇するときはo/w型である。
92回薬剤師国家試験 問170 解答解説
◆ aについて
a × スダンVを少量添加してエマルション全体が着色するとo/w型である。
→ 〇 スダンVを少量添加してエマルション全体が着色するとw/o型である。
o/w型のエマルション(乳剤)は、分散媒(外相)が水で、分散相(内相)が油滴である。
w/o型のエマルションはメチレンブルーやメチルオレンジなどの水溶性色素を加えると全体が着色される。
w/o型のエマルションは、分散媒(外相)が油で、分散相(内相)が水滴である。
w/o型のエマルションはスダンVなどの油溶性色素を加えると全体が着色される。
◆ bについて
b 〇 エマルションの電気抵抗はo/w型の方がw/o型に比べて小さい。
エマルションの電気伝導性は、o/w型で高く、w/o型で低い。
電気抵抗とは電気の流れにくさのことである。
よって、エマルションの電気抵抗はo/w型の方がw/o型に比べて小さい。
◆ cについて
c × 水で希釈して容易に混ざり合うとw/o型である。
→ 〇 水で希釈して容易に混ざり合うとo/w型である。
エマルション(乳剤)は、分散媒(外相)と親和性の高い液体と混ざり合いやすい。
希釈法によるエマルションの型の判定では、
水にエマルションを加えた時、
容易に混ざり合えばo/w型とし、混ざり合わなければw/o型と判定する。
また、希滴法によるエマルションの型の判定では、
エマルションに水または油を加えた時、
水が容易に広がればo/w型とし、油が容易に広がればw/o型と判定する。
◆ dについて
d 〇 エマルションに水を加えると粘度が低下し、油を加えると粘度が上昇するときはo/w型である。
エマルションに分散媒(外相)を加えると粘度は低下し、
分散相(内相)を加えると粘度は上昇する。
エマルションに水を加えると粘度が低下し、油を加えると粘度が上昇するときはo/w型である。
エマルションに水を加えると粘度が上昇し、油を加えると粘度が低下するときはw/o型である。
なお、エマルション(乳剤)において、分散相(内相)を加えていき、分散相の体積比率が75%付近になると、分散相と分散媒が逆転することがある。
これをエマルションの転相と呼ぶ。
この場合のエマルションの粘度変化について、分散相の体積比率の上昇とともに粘度は上昇していき、転相直前で極大となり、転相すると急激に低下する。