タンデムマス法は2段の質量分離部を用いる方法 104回薬剤師国家試験問139

104回薬剤師国家試験 問139
新生児マススクリーニングで使われているタンデムマス法は、
2段の質量分離部を用いる方法である。
以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 タンデムマス法では、質量分離部が並列に配置されている。
2 試料は冷蒸気法によってイオン化される。
3 1段目の質量分離部で選択される特定のイオンのことを、プリカーサーイオンという。
4 プリカーサーイオンは、電子を衝突させることによりさらに解離される。
5 タンデムマス法は、アミノ酸や有機酸などの代謝物の一斉分析にも有用である。

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104回薬剤師国家試験 問139 解答解説

 

タンデム質量分析(MS/MS)は,
1段目の質量分離部で特定のイオン(プリカーサーイオン,前駆イオン)を選択し,
プリカーサーイオンを衝突室で衝突誘起解離(不活性ガスの衝突で分解)などで分解し,
生じたイオン(プロダクトイオン)を2段目の質量分離部で分離・検出する手法である。

 

下記のリンク先を参照
トリプル四重極質量分析計の原理と応用(日本分析機器工業会さん)

 

 

◆ 1について
1 × タンデムマス法では、質量分離部が並列に配置されている。
→ 〇 タンデムマス法では、質量分離部が直列に配置されている。

 

 

◆ 2について
2 × 試料は冷蒸気法によってイオン化される。

 

GC-MS/MSではイオン化法として電子イオン化(EI)法や化学イオン化(CI)法が用いられ、LC-MS/MS ではエレクトロスプレーイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法が主に用いられている。

 

冷蒸気法は原子吸光光度法で試料を原子化する方法であり、
質量分析法のイオン化法ではない。

 

 

◆ 3,4について
3 〇 1段目の質量分離部で選択される特定のイオンのことを、プリカーサーイオンという。

 

4 × プリカーサーイオンは、電子を衝突させることによりさらに解離される。
→ 〇 プリカーサーイオンは、不活性ガスを衝突させることによりさらに解離される。

 

プリカーサーイオン(前駆イオン)を衝突室でフラグメンテーションを起こさせ生成したイオンをプロダクトイオンと呼ぶ。

 

 

◆ 5について
5 〇 タンデムマス法は、アミノ酸や有機酸などの代謝物の一斉分析にも有用である。

 

下記のリンク先を参照
新生児マススクリーニングの検査方法(札幌市さん)

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第104回問137〜140(e-RECさん)

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