質量分析 電子イオン化(EI)法の原理と特徴
本ページでは、質量分析法の電子イオン化(EI)法について説明しています。
気化した試料に熱電子流を照射すると、
分子中の電子がはじき出されて正の電荷をもった分子イオンとなる。
このイオン化法を電子イオン化(Electron Ionization:EI)法または電子衝撃イオン化 (Electron Impact)法という。
電子イオン化(EI)法は、
試料に熱電子を衝突させて最外殻電子を1つはじき出し、
ラジカルカチオン(M+・)を生成するイオン化法である。
M + e− → M+・
電子イオン化(EI)法で得られるラジカルカチオン(M+・)はエネルギーが高く不安定なため、
フラグメンテーションを起こしやすく、
分子イオンが得られないことがある。
電子イオン化(EI)法は、
分子量が1000までの低分子の、
揮発性試料または気体試料のイオン化に適用される。
また、電子イオン化されるには非共有電子対やπ電子が必要である。
一方、電子イオン化(EI)法は、
高分子、不揮発性分子、熱に不安定な分子には適用できない。