質量分析 エレクトロスプレーイオン化(ESI)法の原理と特徴
本ページでは、質量分析法のエレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)法について説明しています。
エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)法は大気圧下でイオン化できるので、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)のイオン化に用いられる。
液体クロマトグラフィー(LC)から導入した試料溶液を高電圧印加し、キャピラリーから円錐状の液滴(テイラーコーン)として大気圧下で噴霧する。帯電した液滴は微小化を繰り返し(レイリー分裂)、気相試料イオンとなる。
ESI法は、高極性またはイオン性の低分子・高分子のイオン化に適する。
ESI法は高極性,難揮発性,熱に不安定な分子に用いることができ、フラグメンテーションを抑制するソフトイオン化法なのでタンパク質や糖質などの生体高分子のイオン化にも用いられる。
ESI法は錯体のイオン化にも適する。
ESI法では多価カチオン[M+nH]n+や多価アニオン[M−nH]n-を生成できる。
多価イオンを生成するメリットとして、分子量が大きくてもイオンの電荷数が大きいならm/zとしては小さくなるので、質量分析計のm/zの測定限界が小さくても、分子量の大きい化合物を検出できることが挙げられる。
多価イオンが並んだマススペクトルは、デコンボリューションと呼ばれる演算で1価のイオンに換算できる。