95回薬剤師国家試験問31 アスピリンの質量スペクトル,α開裂,アセチル基のピーク

95回薬剤師国家試験 問31
日本薬局方医薬品アスピリンの質量スペクトル ( EI-MS ) に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

95回薬剤師国家試験問31 アスピリンの質量スペクトル ( EI-MS )

 

a m/z 180の分子イオンピークは、フラグメンテーションの起こっていないカチオンラジカルのピークである。

 

b すべての化合物において分子イオンピークが必ず観測される。

 

c 分子イオンは奇数個の電子を持ち、中性分子(またはラジカル)を脱離して、いくつかのフラグメントイオンを生成する。

 

d  m/z 120の最も強度の高いピークは基準ピークであり、Aに帰属される。

 

95回薬剤師国家試験問31 アスピリンの質量スペクトル ( EI-MS )

 

e  m/z 43のフラグメントイオンピークは、 [ (CH3)2CH ] + に帰属される。

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95回薬剤師国家試験 問31 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 m/z 180の分子イオンピークは、フラグメンテーションの起こっていないカチオンラジカルのピークである。

 

アスピリン(アセチルサリチル酸)の分子式はC9H8O4で、分子量は180である。
よって、m/z 180のピークは、フラグメンテーションの起こっていない分子イオンのピークである。

 

95回薬剤師国家試験問31 アスピリンの質量スペクトル ( EI-MS )

 

 

◆ b,cについて
b × すべての化合物において分子イオンピークが必ず観測される。

 

c 〇 分子イオンは奇数個の電子を持ち、中性分子(またはラジカル)を脱離して、いくつかのフラグメントイオンを生成する。

 

分子イオンピークが必ず観測されるとは限らない。
特に電子イオン化(EI)法では、
他のイオン化法よりもフラグメンテーションが起こりやすく、
分子イオンピークが観測されないことがある。

 

詳細は下記のリンク先を参照
電子イオン化(EI)法の原理と特徴

 

 

◆ d,eについて
d  〇 m/z 120の最も強度の高いピークは基準ピークであり、A に帰属される。

 

95回薬剤師国家試験問31 アスピリンの質量スペクトル ( EI-MS )

 

 

e  × m/z 43 のフラグメントイオンピークは、 [ (CH3)2CH ] + に帰属される。
→ 〇 m/z 43 のフラグメントイオンピークは、アセチル基のイオン [ CH3CO ] + に帰属される。

 

m/z 120のピークは、
α開裂でアセチル基とヒドロキシ基が外れて生成したフラグメントイオンに由来する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
α開裂とは

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