83回薬剤師国家試験問25 質量分析法
83回薬剤師国家試験 問25
質量分析法に関する次の記述の正誤を判定してみよう。
a 装置はイオン化部、加速部、質量分析部及び検出部よりなる。
b 本法は気体試料にのみ適用できる。
c スペクトルは、通常、横軸に質量電荷比(m/z)、縦軸に強度の最も大きいイオンを100とした各イオンの相対強度を示す棒グラフで表される。
d フラグメントイオンの生成過程における結合の開裂様式には、単純なラジカル開裂及びイオン開裂のほかに転位を伴う場合がある。
e 高分解能で測定すると、各イオンの組成式を知ることができる。
83回薬剤師国家試験 問25 解答解説
◆ aについて
a 〇 装置はイオン化部、加速部、質量分析部及び検出部よりなる。
下記のリンク先を参照
質量分析計 旭川医科大学教育研究推進センター技術支援部実験実習機器技術支援部門さん
◆ bについて
b × 本法は気体試料にのみ適用できる。
→ 〇 質量分析法は固体・液体・気体試料に適用できる。
質量分析法は固体・液体・気体試料のいずれにも適用できるが、
イオン化しない中性種には適用できない。
◆ cについて
c 〇 スペクトルは、通常、横軸に質量電荷比(m/z)、縦軸に強度の最も大きいイオンを100とした各イオンの相対強度を示す棒グラフで表される。
詳細は下記のリンク先を参照
マススペクトルの縦軸(相対強度比)と横軸(m/z)
◆ dについて
d 〇 フラグメントイオンの生成過程における結合の開裂様式には、単純なラジカル開裂及びイオン開裂のほかに転位を伴う場合がある。
転位を伴うフラグメンテーションとしてマクラファティー転位が挙げられる。
詳細は下記のリンク先を参照
マクラファティー(McLafferty)転位とは
◆ eについて
e 〇 高分解能で測定すると、各イオンの組成式を知ることができる。
COとN2の判別を例にする。
これらの整数質量はどちらも28である。
試料の質量が整数でしか得られないような低分解能で測定してm/z=28のピークが得られても、
試料中の物質の組成式はCOなのかN2なのかはわからない。
試料の質量が小数点以下4桁までわかる高分解能で測定してm/z=27.9950のピークを得ることができたとする。
COの精密質量は27.9949,N2の精密質量は28.0062なので、
試料中の物質の組成式はCOだと考えられる。