96回薬剤師国家試験問31 C9H10O2の質量スペクトル
96回薬剤師国家試験 問31
下の図は分子式C9H10O2で表される化合物A〜Dのいずれかの質量スペクトル（EI-MS）である。
記述a〜dのうち、正しいものはどれか。
a 分子式が同一の化合物では、理論的に分子イオンピークM+と[M+1]+及び [M+2]+のピークの相対強度の比は、ほぼ等しくなる。
b 化合物A、B及びDでは、m/z 91が強く観察される。
c m/z 65は、m/z 91から生じたフラグメントイオンピークである。
d この化合物の構造はAと推定される。
96回薬剤師国家試験 問31 解答解説
◆ aについて
a 〇 分子式が同一の化合物では、理論的に分子イオンピークM+と[M+1]+及び [M+2]+のピークの相対強度の比は、ほぼ等しくなる。
詳細は下記のリンク先を参照
同位体イオンピークについて
◆ b，cについて
b × 化合物A、B及びDでは、m/z 91が強く観察される。
→ 〇 化合物A、Bでは、m/z 91が強く観察される。
c 〇 m/z 65は、m/z 91から生じたフラグメントイオンピークである。
m/z 91のフラグメントイオンとして、
ベンジルイオン［C7H7］+とそれが可逆的に異性化したトロピリウムイオンが挙げられる。
また、本問のm/z 65は、m/z 91から生じたフラグメントイオンピークだと考えられる。
詳細は下記のリンク先を参照
m/z=91のベンジルイオン，トロピリウムイオン
m/z=91のベンジルイオン［C7H7］+を生成する構造を有するのは化合物A、Bである。
◆ dについて
d × この化合物の構造はAと推定される。
→ 〇 この化合物の構造はBと推定される。
m/z=91のピークより、ベンジルイオン［C7H7］+を生成する構造を有すると考えられる。
m/z=43のピークより、アセチル基（CH3CO）を有すると考えられる。
以上より、この化合物の構造はBと推定される。
