92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,赤外スペクトル1685cm-1に吸収

92回薬剤師国家試験 問31
下の図は1〜6に示したいずれかの化合物の質量スペクトル(EI-MS)である。
また、この化合物は赤外吸収スペクトルで、波数1685 cm-1付近に強い吸収を示した。
これらの情報に該当する化合物はどれか。

 

92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,波数1685cm-1に吸収

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92回薬剤師国家試験 問31 解答解説

 

問題文に「赤外吸収スペクトルで、波数1685 cm-1付近に強い吸収を示した」とあるが、
1800〜1650 cm-1付近の強い吸収はカルボニルの伸縮振動に由来すると考えられる。
これより、カルボニルを有する2,3,6に絞られる。

 

92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,波数1685cm-1に吸収

 

さらに、酸塩化物は1815〜1770 cm-1付近のカルボニルの中でも比較的に高い波数に吸収を示すので、
3の酸塩化物も外れ、2と6に絞られる。

 

 

質量スペクトルにおいて、
m/z 154とm/z 139の差が15であることから、
CH3の脱離が考えられる。

 

m/z 154とm/z 111の差が43であること、および、
m/z 43にピークが現れていることから、
アセチル基(CH3CO)の脱離が考えられる。

 

以上より、
設問のスペクトルは2の化合物のものだと考えられる。

 

m/z 139とm/z 111のピークは、
α開裂で生成したフラグメントイオンに由来すると考えられる。

 

92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,波数1685cm-1に吸収

 

92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,波数1685cm-1に吸収

 

92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,波数1685cm-1に吸収

 

本問の化合物は塩素を含む。

 

塩素の安定同位体の天然存在比は、
35Cl:37Cl=約3:1なので、
塩素を1つ含むイオンのピークは、
2マスユニット間隔で強度比が約3:1の2本のピークとして現れる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
塩素の同位体ピーク

 

本問の化合物は塩素を1つ含むので、
分子イオンピークは、
強度比が約3:1の2本のピークとなっている。

 

92回薬剤師国家試験問31 質量スペクトル,波数1685cm-1に吸収

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