質量分析 マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法の原理と特徴
本ページでは、質量分析法のマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法について説明しています。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法は、
微量の試料に2000倍程の量の固体または液体のマトリックスを混合した試料を作成し、
マトリックスにレーザーを照射し電子励起させて気相試料イオンを生成する。
生成するイオンは、プロトン付加体[M+H]+が多く、
多価イオンや付加体はあまり観測されない。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法は難揮発性分子をフラグメンテーションを抑制してソフトにイオン化でき、
多量のマトリックスが存在するため熱に不安定な試料にも適用できる。
よって、MALDI法はタンパク質などの極性の高分子化合物のイオン化に適し、
高分子の質量を直接測定することが可能である。
MALDI法は高分子のイオン化に用いられることから、
原理的に測定できる質量に制限のない飛行時間型質量分析計(TOF-MS)と組み合わせて用いられることが多い。
一般にMALDI法はフラグメントイオンが得られないので、
構造情報を得るためには衝突誘起解離など積極的にフラグメンテーションを起こす過程を組み合わせる必要がある。