質量分析法に関する記述のうち誤っているのはどれか 98回薬剤師国家試験問99

98回薬剤師国家試験 問99
質量分析法に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選びなさい。

 

1 マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法は、主にタンパク質のアミノ酸配列の決定に利用される。
2 MALDI法は、一般に飛行時間型質量分析計(TOF-MS)と組合せて用いられる。
3 液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)のイオン化には、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法がよく用いられる。
4 ESI法では、試料分子は大気圧下でイオン化される。
5 m/z値が1,000.0と1,000.1の2本のピークが明瞭に区別できる場合の分解能は10,000である。

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98回薬剤師国家試験 問99 解答解説

 

◆ 1について
1 × マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法は、主にタンパク質のアミノ酸配列の決定に利用される。

 

質量分析でMALDI法やESI法などフラグメンテーションを抑制するソフトイオン化法を用いる場合、タンパク質のアミノ酸配列など構造情報を得るためには衝突誘起解離など積極的にフラグメンテーションを起こす過程を組み合わせる必要がある。
例えば、タンデム質量分析計(MS/MS)は、2台の質量分析計の間に衝突室があり、そこで試料イオンと衝突ガス(窒素,アルゴン,ヘリウム等)を衝突させ、フラグメンテーションを起こすことができる。

 

MALDI法については下記のリンク先を参照
MALDI法の原理と特徴

 

 

◆ 2について
2 〇 MALDI法は、一般に飛行時間型質量分析計(TOF-MS)と組合せて用いられる。

 

MALDI法は高分子のイオン化に用いられることから、原理的に測定できる質量に制限のない飛行時間型質量分析計(TOF-MS)と組み合わせて用いられることが多い。

 

 

◆ 3,4について
3 〇 液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)のイオン化には、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法がよく用いられる。

 

4 〇 ESI法では、試料分子は大気圧下でイオン化される。

 

液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)のイオン化には、
大気圧下でイオン化する方法であるエレクトロスプレーイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法が用いられる。

 

ESI法については下記のリンク先を参照
ESI法の原理と特徴

 

 

◆ 5について
5 〇 m/z値が1,000.0と1,000.1の2本のピークが明瞭に区別できる場合の分解能は10,000である。

 

m/z値がMとM+儁の2本のピークが明瞭に区別できる場合の分解能は下記のように計算される。

 

質量分析法に関する記述のうち誤っているのはどれか 98回薬剤師国家試験問99

 

よって、
設問の「m/z値が1,000.0と1,000.1の2本のピークが明瞭に区別できる場合の分解能」は下記のように計算される。

 

質量分析法に関する記述のうち誤っているのはどれか 98回薬剤師国家試験問99

 

質量分解能とは、質量分析において近接した二つのピークをどれくらい明瞭に分離できるかを示す指標である。
質量分解能が高いほど、小さい質量差のピーク同士を分離して検出することが可能になる。
ただし、一般に分解能を上げると検出感度は低下する。
分解能を上げるには検出器のスリットを狭くする必要があり、
そうすると検出器に到達するイオン量が少なくなるため、
検出感度は低下する。

 

 

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第98回問99(e-RECさん)

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