質量分析 臭素を含む場合の同位体ピーク
本ページでは、質量分析においてハロゲンの臭素Brを含む場合の同位体ピークについて説明しています。
◆ 臭素の同位体ピーク
臭素の同位体の天然存在比について、
79Brが約51%,81Brが約49%なので、
1つの臭素につき、
79Br:81Br = 約1:1
で存在する。
これを踏まえ、
臭素を1つ含む場合と2つ含む場合の同位体ピークについて述べる。
(1)臭素を1つ含む場合の同位体ピーク
含まれる臭素の同位体の確率は下記の通り。
79Brの確率=1/2
81Brの確率=1/2
よって、1個の臭素を含む分子イオンは、
2マスユニット間隔で強度比が約1:1の2本のピークとして出現する。
(2)臭素を2つ含む場合の同位体ピーク
臭素の同位体の天然存在比より、
2つの臭素の同位体の組み合わせの確率は下記の通り。
79Br−79Brの確率=1/2×1/2=1/4
79Br−81Brの確率=1/2×1/2=1/4
81Br−79Brの確率=1/2×1/2=1/4
81Br−81Brの確率=1/2×1/2=1/4
79Br−81Brと81Br−79Brの質量は同じである。
よって、2個の臭素を含む分子イオンは、
2マスユニット間隔で強度比が約1:2:1の3本のピークとして出現する。
以上のようなピークのパターンが見られた場合、
試料は臭素を含む化合物であることが考えられる。
なお、塩素の同位体ピークについては下記のリンク先を参照
塩素の同位体ピーク