82回薬剤師国家試験問41 質量分析法
82回薬剤師国家試験 問41
次の質量分析法に関する記述の正誤を判定してみよう。
a 高真空下で一方向に加速されたイオンが電場又は磁場中を通過するとき、質量電荷比(m/z)が小さいほどイオンの軌道は大きく曲げられる。
b 気化した試料に熱電子流を照射すると、分子中の電子がはじき出されて正の電荷をもった分子イオンとなる。このイオン化法をEI (electron impact)法という。
c イオン化の際、過剰のエネルギーを受け取った分子イオンは、弱い結合が開裂して質量のより小さなフラグメントイオンを生成する。
d 臭素の安定同位体79Brと81Brの天然存在比は100:98である。
2個の臭素を含む分子イオンは、2マスユニット間隔でおおよその強度比が1:2:1の3本のピークとして出現する。
82回薬剤師国家試験 問41 解答解説
◆ aについて
a 〇 高真空下で一方向に加速されたイオンが電場又は磁場中を通過するとき、質量電荷比(m/z)が小さいほどイオンの軌道は大きく曲げられる。
詳細は下記のリンク先を参照
質量分離の原理(旭川医科大学教育研究推進センター技術支援部実験実習機器技術支援部門さん)
◆ bについて
b 〇 気化した試料に熱電子流を照射すると、分子中の電子がはじき出されて正の電荷をもった分子イオンとなる。このイオン化法をEI (electron impact)法という。
EI法については下記のリンク先を参照
電子イオン化(EI)法の原理と特徴
◆ cについて
c 〇 イオン化の際、過剰のエネルギーを受け取った分子イオンは、弱い結合が開裂して質量のより小さなフラグメントイオンを生成する。
特に電子イオン化(EI)法では、
イオン化の際に分子に与えられるエネルギーが大きく、
また、得られるラジカルカチオン(M+・)が不安定なため、
他のイオン化法よりもフラグメンテーションを起こしやすい。
◆ dについて
d 〇 臭素の安定同位体79Brと81Brの天然存在比は100:98である。
2個の臭素を含む分子イオンは、2マスユニット間隔でおおよその強度比が1:2:1の3本のピークとして出現する。
臭素の同位体ピークについては下記のリンク先を参照
臭素の同位体ピーク