薬剤師国家試験過去問題集　質量分析

86回薬剤師国家試験　問28
下の図は、サリチル酸メチル (C8H8O3) の質量スペクトル (EI-MS) である。
次の記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

 

ａ　m/z 152のピークは基準ピーク (base peak) とよばれる。
ｂ　スペクトルの横軸の目盛りm/zのzは、イオンの電荷数、縦軸は相対強度 (%) を示す。
ｃ　フラグメントピークm/z 121は [C6H4(OH)CO]+ に帰属される。
ｄ　類似化合物で分子イオンピークm/z 166 (M+) を与え、
フラグメントピークm/z 135 (M−OCH3) +、
m/z 120 [M− (OCH3＋CH3) ]+、
m/z 92 [M−(CH3OCO＋CH3) ] + を与える化合物の構造は
C6H4 (OCH3) (COOCH3)と予想される。

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86回薬剤師国家試験　問28　解答解説

 

◆　aについて
ａ　×　m/z 152のピークは基準ピーク (base peak) とよばれる。
→　〇　m/z 152のピークは分子イオンピークとよばれる。

 

基準ピークと分子イオンイオンピークについては下記のリンク先を参照
基準ピークと分子イオンピーク

 

設問の基準ピークはm/z 120のピークである。

 

 

 

◆　bについて
ｂ　〇　スペクトルの横軸の目盛りm/zのzは、イオンの電荷数、縦軸は相対強度 (%) を示す。

 

詳細は下記のリンク先を参照
マススペクトルの縦軸と横軸

 

 

◆　cについて
ｃ　〇　フラグメントピークm/z 121は [C6H4(OH)CO]+ に帰属される。

 

m/z 121のピークは、
下記のようにα開裂で生成した[C6H4(OH)CO]+のフラグメントイオンのピークだと考えられる。

 

 

α開裂については下記のリンク先を参照
質量分析 カルボニルのα開裂とは

 

 

◆　dについて
ｄ　〇　類似化合物で分子イオンピークm/z 166 (M+) を与え、
フラグメントピークm/z 135 (M−OCH3) +、
m/z 120 [M− (OCH3＋CH3) ]+、
m/z 92 [M−(CH3OCO＋CH3) ] + を与える化合物の構造は
C6H4 (OCH3) (COOCH3)と予想される。

 

 

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