求核置換反応(SN1・SN2)の反応速度 反応機構・律速段階より 83回薬剤師国家試験問7ab

第83回薬剤師国家試験 問7ab
一分子求核置換反応(SN1反応)及び二分子求核置換反応(SN2反応)に関する次の記述の正誤を判定してみよう。

 

a.SN1反応の反応速度は、求核試薬の濃度に依存しない。

 

b.速度論的に、SN1反応は中間体を通る2段階の反応であるのに対し、SN2反応は1段階の反応である。

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第83回薬剤師国家試験 問7ab 解答解説

 

a.〇 SN1反応の反応速度は、求核試薬の濃度に依存しない。

 

b.〇 速度論的に、SN1反応は中間体を通る2段階の反応であるのに対し、SN2反応は1段階の反応である。

 

SN1反応では、第一段階として基質から脱離基が陰イオンとなって外れてカルボカチオン中間体を生成する。第二段階として、カルボカチオンに対して求核剤が付加する。結果、脱離基と求核剤が置換したものが生成する。

 

SN1反応の律速段階は基質から脱離基が外れてカルボカチオン中間体を生成する段階であり、律速段階に基質だけが関わっている。
よって、SN1の反応速度は基質の濃度のみに比例し、次の一次反応速度式で記述される。
SN1の反応速度=k×[基質]

 

求核置換反応(SN1・SN2)の反応速度 反応機構・律速段階 83回問7ab

 

 

一方、SN2反応の反応速度について、SN2は一段階の反応であり、律速段階に基質と求核試薬の両方が関わるとみなせる。
よって、SN2の反応速度は基質の濃度と求核試薬の濃度の両方に比例し、次の二次反応速度式で記述される。
SN2の反応速度=k×[基質]×[求核剤]

 

求核置換反応(SN1・SN2)の反応速度 反応機構・律速段階 83回問7ab

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