求核置換反応(SN1, SN2)の反応性と脱離基 91回薬剤師国家試験問5の3

第91回薬剤師国家試験 問5の3
ハロアルカンの性質に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

3 フロロアルカンは対応する他のハロアルカンより求核剤との反応性が高い。

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第91回薬剤師国家試験 問5の3 解答解説

 

3 × フロロアルカンは対応する他のハロアルカンより求核剤との反応性が高い。
→ 〇 フロロアルカンは対応する他のハロアルカンより求核剤との反応性が低い。

 

求核置換反応では、基質から脱離基が陰イオンや中性分子となって外れる。
よって、基質の脱離基が外れやすいほど(脱離基の脱離能が高いほど)、求核置換反応の反応性が高い。
外れやすい脱離基とは、脱離した後の化学種の安定性が高いものである。
脱離した後に陰イオンとなる場合は、
陰イオンとなった時の負電荷の安定性が高く塩基性が弱いほど、脱離しやすい。

 

求核置換反応(SN1, SN2)の反応性と脱離基 91回問5の3

 

sp3炭素−ハロゲン(X)の結合を持つハロゲン化合物は、ハロゲンを脱離基とする求核置換反応の基質となり、反応の進行に伴いハロゲンが陰イオンとなって外れる。
ハロゲンのアニオンの負電荷の安定性が高く塩基性が弱いほど、
基質からハロゲンが陰イオンとなって脱離しやすく、
求核置換反応の反応性が高い。

 

ハロゲンアニオンの塩基性の比較について、
F‐< Cl‐< Br‐< I とハロゲンが大きくなるにつれ、
負電荷の安定性が高くなり、塩基性が弱くなる。
よって、F< Cl< Br< I とハロゲンが大きくなるにつれ、
脱離しやすくなる。

 

以上のことから、
sp3炭素−ハロゲン(X)の結合を持つハロゲン化合物の求核置換反応の反応性について、
F< Cl< Br< I とハロゲンが大きくなるにつれ、
ハロゲンが脱離しやすくなるので、
求核置換反応の反応性が高くなる。

 

 

★ ハロゲン化水素(HX)の酸性の強さと共役塩基のハロゲン化物イオン(X−)の塩基性の強さの序列

 

原子半径が大きいほどHを離しやすくなるので、
ハロゲン化水素(HX)の酸性の強さはハロゲンの原子半径が大きくなるほど強くなり、
HF<HCl<HBr<HIの順に酸性が強くなる。HFは弱酸である。

 

 一方、ハロゲン化水素(HX)の共役塩基であるハロゲンアニオン(X−)の塩基性の強さは、
ハロゲン化水素の逆でF->Cl->Br->I-である。

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