ハロゲン化アリール(ハロゲン化ベンゼン)は求核置換反応(SN1・SN2)が不活性 83回薬剤師国家試験問7d

第83回薬剤師国家試験 問7d
一分子求核置換反応(SN1反応)及び二分子求核置換反応(SN2反応)に関する次の記述の正誤を判定してみよう。

 

d.ブロモベンゼンは、SN1反応もSN2反応も起こしにくい。
ハロゲン化アリール(ハロゲン化ベンゼン) SN1・SN2反応 不活性 83回問7d

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第83回薬剤師国家試験 問7d 解答解説

 

d.〇 ブロモベンゼンは、SN1反応もSN2反応も起こしにくい。
ハロゲン化アリール(ハロゲン化ベンゼン) SN1・SN2反応 不活性 83回問7d

 

ハロゲン−炭素結合がハロゲン−sp2炭素結合である
ハロゲン化ビニル(CH2=CH−X)やハロゲン化アリール(Ar−X)では求核置換反応が起こりにくい。

 

ハロゲン化アリール(ハロゲン化ベンゼン) SN1・SN2反応 不活性 83回問7d

 

★ ハロゲン化ビニル(CH2=CH−X)とハロゲン化アリール(Ar−X)では求核置換反応(SN1・SN2)が起こりにくい。

 

ハロゲン化ビニル(CH2=CH−X)とハロゲン化アリール(Ar−X)のハロゲン−炭素結合はハロゲン−sp2炭素の結合である。このことから、ハロゲン化ビニルやハロゲン化アリールで求核置換反応が起こりにくい理由が挙げられる。

 

1つ目は、ハロゲン−sp2炭素の結合は共鳴により強化されて開裂しにくくなっているので求核置換反応は起こりにくいという説である。

 

2つ目は、ハロゲン−sp2炭素の炭素の正の分極(Cδ+)は弱いため、求核試薬との反応性が低いという説である。
sp2炭素はsp3炭素に比べて電気陰性度が大きいので、ハロゲン−sp2炭素の分極はハロゲン−sp3炭素よりも弱い。
また、ハロゲン−sp2炭素では、ハロゲンの電子供与性共鳴効果が発現し、
ハロゲン−sp2炭素の分極を弱める。
これらのことから、ハロゲン−sp2炭素の炭素の正の分極(Cδ+)は弱いため、
求核試薬との反応は起こりにくいと考えられる。

 

以上のことから、ハロゲン化ビニル(CH2=CH−X)とハロゲン化アリール(Ar−X)では求核置換反応が起こりにくい。

 

ハロゲン化アリール(ハロゲン化ベンゼン) SN1・SN2反応 不活性 83回問7d

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