ウイリアムソンのエーテル合成 反応機構 96回薬剤師国家試験問10a

第96回薬剤師国家試験 問10a
下記の化合物Xの合成法として、A法とB法のどちらが適切か。なお、キラル中心が存在する場合はラセミ体を使用している。

 

ウイリアムソンのエーテル合成 反応機構 96回問10a

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第96回薬剤師国家試験 問10a 解答解説

 

◆ A法について
ウイリアムソンのエーテル合成 反応機構 96回問10a

 

A法は、ハロゲン化アリール(Ar−X)を基質とし、アルコキシドイオン(R−O:-)を求核剤として、二分子求核置換反応(SN2反応)を進行させようという方法である。
しかし、一般に、ハロゲン化アリール(Ar−X)やハロゲン化ビニル(CH2=CH−X)を基質とした求核置換反応は起こりにくい。

 

ウイリアムソンのエーテル合成 反応機構 96回問10a

 

詳細は下記のリンク先を参照
ハロゲン化アリールは求核置換反応で不活性 83回問7d

 

 

◆ B法について
ウイリアムソンのエーテル合成 反応機構 96回問10a

 

★ ウイリアムソンのエーテル合成
B法の反応はウイリアムソンのエーテル合成と呼ばれるもので、ハロゲンが結合して正に分極した炭素(Cδ+)を有するハロゲン化アルキルを基質とし、SN2機構で進行するエーテルの合成法である。
X−sp3炭素の構造を有するハロゲン化合物を基質とし、X−sp3炭素のCδ+に対してアルコキシドイオン(RO:−)やフェノキシドイオン(Ar−O:−)が脱離基であるハロゲン(X)のいない側から求核攻撃を行い付加すると同時にハロゲンが陰イオンとなって脱離するという反応が一段階で起こる。このSN2反応により、ハロゲンとアルコキシド(RO)またはフェノキシド(Ar−O)が置換したエーテルが生成する。

 

ウイリアムソンのエーテル合成 反応機構 96回問10a

 

以上より、Xの合成法としてはB法が適切である。

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