求核置換置換反応(SN1,SN2) 溶媒と反応性の関係
本ページでは、求核置換置換反応(SN1,SN2)における溶媒と反応性の関係について説明しています。
★ SN2反応でプロトン性溶媒を用いると、求核試薬が溶媒和されて求核性が低下するため、反応が遅くなる。一方、SN2反応で非プロトン性極性溶媒を使用すると反応が比較的に速く進行する。
−OHや−NH2を持つ溶媒をプロトン性溶媒と呼ぶ。SN2反応をプロトン性溶媒中で行うと、求核試薬の負電荷に対してプロトン性溶媒が正電荷を帯びるHδ+を向けて取り囲む。これを求核試薬の溶媒和という。
SN2反応において、求核試薬がプロトン性極性溶媒で溶媒和されると、基質のCδ+への求核攻撃が起こりにくくなり、反応速度が遅くなる。
一方、SN2反応で、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒を用いると、求核試薬が溶媒和されることなく裸の状態で存在できるため、SN2反応が比較的に速くなる。
★ SN1反応では、プロトン性溶媒を用いるとカルボカチオンが溶媒和により安定するため、反応が速く進行する。
SN1反応では基質のカルボカチオン中間体を経由するが、プロトン性溶媒を用いると、カルボカチオンのC+の正電荷に対してプロトン性溶媒分子がδ−を向けて取り囲む。これをカルボカチオンの溶媒和という。カルボカチオンの溶媒和はカルボカチオンの安定性を高めることになる。このことから、プロトン性溶媒では基質がカルボカチオンになりやすくなり、SN1反応が比較的に速く進行する。