93回薬剤師国家試験問171 モノステアリン酸ソルビタン60 (Span60) に関する物性値Bを変数Aに対してプロット
93回薬剤師国家試験 問171
モノステアリン酸ソルビタン60 (Span60) に関する物性値Bを変数Aに対してプロットしたところ、次のグラフが得られた。横軸の変数A、縦軸の物性値B、グラフの屈曲点に関連する特性の組合せのうち、正しいものはどれか。
93回薬剤師国家試験 問171 解答解説
正解は1である。
変数A:水溶液中のSpan60濃度
物性値B:溶液の界面張力
屈曲点に関連する特性:臨界ミセル濃度(cmc)
モノステアリン酸ソルビタン60(Span60:ソルビタンモノステアレート)は、
非イオン性界面活性剤のソルビタン脂肪酸エステル(Span系)の1種であり、
構造は下記の通り。
界面活性剤水溶液の表面張力は、
臨界ミセル濃度(cmc)以上では一定となる。
以下、詳細
界面活性剤水溶液の表面張力について、
水相表面の界面活性剤が飽和するまでは、
界面活性剤濃度が上昇すると、
水相表面の界面活性剤の濃度は上昇し、
それに伴い表面張力は急激に低下する。
その後、水相表面の界面活性剤が飽和すると、
それ以降、界面活性剤の濃度が上昇しても表面張力は変化せず一定となる。
表面の界面活性剤が飽和した後、さらに界面活性剤の濃度が上昇すると、
水中で界面活性剤はミセルを形成するようになる。
ミセル形成が始まる濃度域を臨界ミセル濃度(cmc)と呼ぶ。
臨界ミセル濃度(cmc)に達する前に水相表面の界面活性剤は飽和しているので、
臨界ミセル濃度以上では溶液の表面張力は一定となる。
下の図のV型のグラフが界面活性剤水溶液の表面張力と濃度の関係を示す。