96回薬剤師国家試験問169 界面活性剤に関する記述と構造式の組み合わせ
96回薬剤師国家試験 問169
界面活性剤に関する記述a〜cと、構造式イ、ロ、ハで示される界面活性剤の正しい組合せはどれか。
a 殺菌・消毒剤として用いられる。
b ある温度以上で水への溶解度が急激に上昇する。
c ある温度以上で水への溶解度が急激に低下する。
イ CH3 (CH2)11SO3Na
ロ [ C6H5CH2N (CH3)2C12H25 ] Cl
ハ CH3 (CH2)11O (CH2CH2O) 9H
a b c
1 イ ロ ハ
2 イ ハ ロ
3 ロ イ ハ
4 ロ ハ イ
5 ハ イ ロ
6 ハ ロ イ
96回薬剤師国家試験 問169 解答解説
正解は3である。
a:ロ [ C6H5CH2N (CH3)2C12H25 ] Cl
b:イ CH3 (CH2)11SO3Na
c:ハ CH3 (CH2)11O (CH2CH2O) 9H
◆ イ〜ロの界面活性剤について
イのCH3 (CH2)11SO3Naはラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)であり、アルキル硫酸塩であり、陰イオン性界面活性剤である。
ロの [ C6H5CH2N (CH3)2C12H25 ] Clはベンザルコニウム塩化物であり、第四級アンモニウム塩であり、陽イオン性界面活性剤である。
ハのCH3 (CH2)11O (CH2CH2O) 9Hはポリオキシエチレンドデシルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル,ラウロマクロゴール)であり、非イオン性界面活性剤である。
界面活性剤の種類と構造については下記のリンク先を参照
界面活性剤の種類・分類
◆ a〜cの界面活性剤に関する記述について
記述aの殺菌・消毒剤として用いられるのは、陽イオン性界面活性剤の第四級アンモニウム塩やアルキルピリジニウム塩である。
具体的には、第四級アンモニウム塩のベンザルコニウム塩化物とベンゼトニウム塩化物、
セチルピリジニウム塩化物(CPC)が挙げられる。
記述bのある温度以上で水への溶解度が急激に上昇するのは、イオン性界面活性剤(陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)である。イオン性界面活性剤は、ある温度以上で水への溶解度が急激に上昇する。この温度をクラフト点と呼ぶ。
温度がクラフト点になると、イオン性界面活性剤はミセルを形成し始め、温度上昇と共に水への溶解度が急激に上昇するようになる。
記述cのある温度以上で水への溶解度が急激に低下するのは、非イオン性界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤は、ある温度以上で水への溶解度が急激に低下する。この温度を曇点と呼ぶ。
詳細は下記のリンク先を参照
非イオン性界面活性剤の水への溶解度は曇点以上で急激に低下 99回問175の4