界面活性剤に関する記述 99回薬剤師国家試験問175

99回薬剤師国家試験 問175
界面活性剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 ラウリル硫酸ナトリウムは、液体表面に吸着されにくく、負吸着を示す。
2 界面活性剤水溶液の表面張力は、臨界ミセル濃度以上で急激に低下する。
3 イオン性界面活性剤の水への溶解度は、クラフト点以上で急激に上昇する。
4 非イオン性界面活性剤の水への溶解度は、曇点以上で急激に低下する。
5 HLB(hydrophile-lipophile balance)値が5未満の界面活性剤は、水に極めて溶けやすい。

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99回薬剤師国家試験 問175 解答解説

 

◆ 1について
1 × ラウリル硫酸ナトリウムは、液体表面に吸着されにくく、負吸着を示す。
→ 〇 ラウリル硫酸ナトリウムは、液体表面に吸着されやすく、正吸着を示す。

 

溶質を溶媒に溶解させた時、溶質分子が溶液内部に向かうよりも表面に吸着しやすいことを正吸着と呼ぶ。
ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤は特に溶液表面に吸着しやすく、少量で表面張力を大きく低下させる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
溶質の種類と正吸着・負吸着 99回問175の1

 

 

◆ 2について
2 × 界面活性剤水溶液の表面張力は、臨界ミセル濃度以上で急激に低下する。
→ 〇 界面活性剤水溶液の表面張力は、臨界ミセル濃度以上では一定となる。

 

臨界ミセル濃度(cmc)とはミセルが形成され始める濃度域である。
臨界ミセル濃度(cmc)に達する前に水相表面の界面活性剤は飽和しているので、
臨界ミセル濃度以上では表面張力は一定となる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
界面活性剤水溶液の濃度と表面張力 99回問175の2

 

 

◆ 3について
3 〇 イオン性界面活性剤の水への溶解度は、クラフト点以上で急激に上昇する。

 

イオン性界面活性剤は、ある温度以上で水への溶解度が急激に上昇する。この温度をクラフト点と呼ぶ。
温度がクラフト点になると、イオン性界面活性剤はミセルを形成し始め、温度上昇と共に水への溶解度が急激に上昇するようになる。

 

関連問題
イオン性界面活性剤のクラフト点とミセル形成 91回問170a

 

 

◆ 4について
4 〇 非イオン性界面活性剤の水への溶解度は、曇点以上で急激に低下する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
非イオン性界面活性剤の水への溶解度は曇点以上で急激に低下 99回問175の4

 

 

◆ 5について
5 × HLB(hydrophile-lipophile balance)値が5未満の界面活性剤は、水に極めて溶けやすい。
→ 〇 HLB(hydrophile-lipophile balance)値が5未満の界面活性剤は、水に極めて溶けにくい。

 

Hydrophile-Lipophile Balance(HLB:親水親油バランス)とは、エマルションの乳化剤として用いられる非イオン性界面活性剤の親水性基と疎水性基のバランスを表す尺度である。

 

HLBが大きいほど界面活性剤の親水性が高く、
HLBが小さいほど界面活性剤の親油性(疎水性)が高いことを示す。

 

大まかな基準として、
HLB値が7以上のものは親水性であり、
HLB値が7未満のものは親油性(疎水性)であると考えられる。

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
99回問175(e-RECさん)

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