溶質の種類と正吸着・負吸着 99回薬剤師国家試験問175の1
99回薬剤師国家試験 問175の1
界面活性剤に関する記述の正誤を判定してみよう。
1 ラウリル硫酸ナトリウムは、液体表面に吸着されにくく、負吸着を示す。
99回薬剤師国家試験 問175の1 解答解説
1 × ラウリル硫酸ナトリウムは、液体表面に吸着されにくく、負吸着を示す。
→ 〇 ラウリル硫酸ナトリウムは、液体表面に吸着されやすく、正吸着を示す。
◆ 溶質の負吸着と溶液の表面張力
NaClなどの電解質が溶質の場合、電解質が解離して生成したイオンに水が強く水和することから、電解質イオンは表面よりも溶液内部に多く存在し、表面の溶質濃度は内部よりも低くなる。これを負吸着と呼ぶ。
負吸着を起こす溶質の溶液では、表面張力は溶質の濃度上昇と共に少しずつ大きくなる。
また、負吸着を起こす物質を界面不活性物質と呼ぶ。
◆ 溶質の正吸着と溶液の表面張力
・アルコール・脂肪酸の正吸着と溶液の表面張力
アルコールや脂肪酸が溶質の場合、疎水性の炭化水素基は水中よりも表面にいる方が安定なため、
溶液内部よりも表面の方が溶質濃度は高くなる。これを正吸着と呼ぶ。
正吸着を起こす溶質の溶液では、表面張力は溶質の濃度上昇と共に小さくなる。
正吸着を起こして表面張力を低下させる性質を界面活性であるという。
・界面活性剤の正吸着と溶液の表面張力
界面活性剤は分子内に親水性基と疎水性基(親油性基)の両方を持つが、
疎水性の炭化水素基が大きいため、特に水溶液の表面に集まりやすく、少量で表面張力を大きく低下させる。