糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 薬学化学

本ページでは、還元性を示す糖(還元糖)について説明しています。

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糖の構造には鎖状構造と環状構造があるが、鎖状構造のアルデヒドは還元性を示す。
下記はD-グルコースの水中の平衡状態の様子である。

 

糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

ケト−スの鎖状構造は一見アルデヒドを有さないが、水中において下記のようにα-ヒドロキシケトン(α−ケトール)はアルデヒドに変換されるため、還元性を示す。

 

糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

 

★ 還元性を示す糖の構造的特徴

 

二糖以上の糖質には還元性を示すものと示さないものがある。
少なくとも1つのアノマー炭素がグリコシド結合に関わっていない、または、ヘミアセタール構造を有する(アノマー性OHが残っている)糖質は、溶液において末端が鎖状構造を取り得るため還元性を示す。
また、還元性を示す糖は、旋光度の異なる鎖状構造と環状構造で相互変換するので、溶液は変旋光も示す。

 

ヘミアセタールとは、アルデヒド・ケトンに対してアルコールが1分子のみ求核付加した構造を指す。

 

糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

アルデヒド・ケトンに対するアルコールの求核付加反応は下記のリンク先を参照
アルデヒド・ケトンとアルコールでアセタール 91回問9c へ

 

 

下記のマルトース(麦芽糖)は、片方のD-グルコースのアノマー炭素がグリコシド結合に関わっておらず、ヘミアセタール構造を有する(アノマー性OHが残っている)ので、変旋光および還元性を示す。

 

糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

 

一方、全てのアノマー炭素がグリコシド結合に関わっている、または、ヘミアセタール構造の無い(アノマー性OHが残っていない)糖質は、溶液において環状構造から鎖状構造への変化が起こらないので、変旋光と還元性を示さない。下記のスクロース(ショ糖)やトレハロースは変旋光と還元性を示さない。

 

糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

 

糖の還元性 示す理由,示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

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