中等度アルツハイマー型認知症の治療薬の提案 100回薬剤師国家試験問212

100回薬剤師国家試験 問212

 

80歳女性。2年前に軽度アルツハイマー型認知症と診断され、現在ドネペジル塩酸塩錠5mgを服用している。改訂長谷川式簡易知能評価スケールを用いて評価した結果、ここ1年で軽度から中等度に悪化した。そこで、カンファレンスで治療方針について話し合うことになった。

 

薬剤師からの提案事項として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 ガランタミン臭化水素酸塩錠を併用する。
2 ビペリデン塩酸塩錠を併用する。
3 ガランタミン臭化水素酸塩錠に変更する。
4 メマンチン塩酸塩錠に変更する。

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100回薬剤師国家試験 問212 解答解説

 

アルツハイマー型認知症の病期別の治療薬の選択は下記の通り。
なお、中枢性アセチルコリンエステラーゼ阻害薬をChEI(cholinesterase inhibitor)と表す。

 

・軽度
ChEIのドネペジル塩酸塩(アリセプト),ガランタミン臭化水素酸(レミニール),リバスチグミン(イクセロンパッチ,リバスタッチパッチ)の中から1剤。

 

 

・中等度
まずは、ChEIのドネペジル塩酸塩(アリセプト),ガランタミン臭化水素酸(レミニール),リバスチグミン(イクセロンパッチ,リバスタッチパッチ),NMDA型グルタミン酸受容体非競合性拮抗薬のメマンチン塩酸塩(メマリー)の中から1剤。
その後、効果なし・不十分・減弱の場合は、他のChEIかメマンチン塩酸塩に変更するか、もしくは、ChEI 1剤とメマンチン塩酸塩を併用する。

 

 

・高度
ChEIのドネペジル塩酸塩(アリセプト),NMDA受容体非競合性拮抗薬のメマンチン塩酸塩(メマリー)の中から1剤投与するか、もしくは、ドネペジル塩酸塩とメマンチン塩酸塩を併用する。

 

 

設問の患者は、軽度アルツハイマー型認知症でドネペジル塩酸塩錠5mgを服用していたが、この度、中等度と診断された。よって、提案事項として正しいのは、
3 〇 ガランタミン臭化水素酸塩錠に変更する。
4 〇 メマンチン塩酸塩錠に変更する。
である。

 

以下、他の選択肢の解説

 

◆ 1について
1 × ガランタミン臭化水素酸塩錠を併用する。
アルツハイマー型認知症の病期によらず、ChEIは1剤しか投与しない。
ChEIのドネペジル塩酸塩(アリセプト),ガランタミン臭化水素酸(レミニール),リバスチグミン(イクセロンパッチ,リバスタッチパッチ)同士は併用されない。

 

 

◆ 2について
2 × ビペリデン塩酸塩錠を併用する。

 

ビペリデンは中枢性の抗コリン薬であり、パーキンソン病症状(パーキソニズム)の治療に用いられるが、アルツハイマー型認知症の適応はない。

 

ビペリデンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断することで、線条体におけるアセチルコリン神経系とドパミン神経系のアンバランスを改善する。

 

ビペリデン塩酸塩(アキネトン)の添付文書上の効能効果は下記の通り。
・特発性パーキンソニズム
・その他のパーキンソニズム(脳炎後、動脈硬化性、中毒性)
・向精神薬投与によるパーキンソニズム・ジスキネジア(遅発性を除く)・アカシジア

 

 

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第100回問212,213(e-RECさん)

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