キニジンとキニーネの関係 107回薬剤師国家試験問8
107回薬剤師国家試験 問8
次の2つの薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 エナンチオマーの関係にある。
2 ジアステレオマーの関係にある。
3 構造異性体の関係にある。
4 融点が同じである。
5 比旋光度[α]20 D の絶対値が同じである。
107回薬剤師国家試験 問8 解答解説
◆ 1,2,3について
1 × エナンチオマーの関係にある。
2 〇 ジアステレオマーの関係にある。
3 × 構造異性体の関係にある。
→ 〇 立体異性体の関係にある。
異性体とは分子式は同じであるが互いに異なる化合物を指す。
異性体は構造異性体と立体異性体の2種類に大別される。
構造異性体とは、原子の配列が異なることによる異性体である。
立体異性体とは、原子の配列は同一だが、三次元の位置(空間位置)が異なることによる異性体である。
キニジンとキニーネは、
原子の結合順序は同じであるが、
4つの不斉炭素のうち、
2つの絶対配置は同じで、
2つの絶対配置は異なる。
よって、キニジンとキニーネは立体異性体であり、
さらに、ジアステレオマーの関係にあるといえる。
立体異性体のうち、全ての不斉中心の絶対配置が互いに逆のものをエナンチオマーと呼び、
エナンチオマー以外の立体異性体をジアステレオマーと呼ぶ。
キニジンはTa群抗不整脈薬であり、
Na+チャネルとK+チャネルを遮断し、活動電位持続時間を延長する。
キニーネは抗マラリア薬である。
◆ 4について
4 × 融点が同じである。
キニジンとキニーネは互いにジアステレオマーの関係にあるものなので、
融点などの物理的性質は異なる。
なお、互いにエナンチオマーの関係にあるもの同士では、
融点,沸点,溶解度などの物理的性質は同一である。
◆ 5について
5 × 比旋光度[α]20 D の絶対値が同じである。
キニジンとキニーネは互いにジアステレオマーの関係にあるものなので、
比旋光度[α]20 D の絶対値は異なる。
なお、互いにエナンチオマーの関係にあるものの比旋光度[α]20 D は、
絶対値は同じで、符号の正負(+,−)が互いに逆となる。
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