エナンチオマー,ジアステレオマー 95回薬剤師国家試験問6
第95回薬剤師国家試験 問6
日本薬局方医薬品クロラムフェニコールA及びその立体異性体B〜Dに関する記述の正誤を判定してみよう。
a Aの立体化学は1R,2Rである。
b AとBは互いにエナンチオマーの関係にある。
c AとDの旋光度は、絶対値が等しく正負の符号は逆である。
d BとCは互いにジアステレオマーの関係にある。
第95回薬剤師国家試験 問6 解答解説
◆aについて
a ○ Aの立体化学は1R,2Rである。
不斉中心の絶対配置の判別の仕方については、下記のリンク先を参照
不斉中心の絶対配置の判別について
・1位の立体
CのHが紙面から奥側にあり、@ABが時計回りに並んでいるのでRである。よって、1R
・2位の立体
CのHが紙面から手前側にあり、@ABが反時計回りに並んでいるのでRである。よって、2R
★参考外部サイトリンク
R,S 絶対配置(生命系のための理工学基礎さん)
◆bについて
b × AとBは互いにエナンチオマーの関係にある。
→ ○ AとBは互いにジアステレオマーの関係にある。
ある2つの立体異性体について、全ての不斉中心の立体が互いに逆になっている時、これらの化合物は互いにエナンチオマー(鏡像異性体)の関係にあるといえる。
ある2つの化合物について、エナンチオマーの関係以外の立体異性体である場合、互いにジアステレオマーの関係にあるという。
AとBの構造式を見比べると、1の不斉中心の立体がAとBで互いに逆であるが、2の不斉中心の立体は同じである。したがって、AとBは互いにジアステレオマーの関係である。
★参考外部サイトリンク
立体異性体(wikipediaさん)
キラリティーと鏡像(光学)異性体(役に立つ薬の情報〜専門薬学さん)
◆cについて
c ○ AとDの旋光度は、絶対値が等しく正負の符号は逆である。
AとDの構造式を見比べると、1と2のいずれの不斉中心の立体においてもAとDで互いに逆である。
よって、AとDについて、全ての不斉中心の立体が互いに逆になっているので、これらの化合物は互いにエナンチオマーの関係にあるといえる。
互いにエナンチオマーの関係にあるものにおいては、ある平面偏光における旋光度は絶対値が等しく正負の符号は逆である。
したがって、互いにエナンチオマーの関係にあるAとDの旋光度は、絶対値が等しく正負の符号は逆である。
★参考外部サイトリンク
キラリティーと光学活性(薬学これでOKさん)
◆dについて
d × BとCは互いにジアステレオマーの関係にある。
→ ○ BとCは互いにエナンチオマーの関係にある。
BとCの構造式を見比べると、1と2のいずれの不斉中心の立体においてもBとCで互いに逆である。
よって、BとCについて、全ての不斉中心の立体が互いに逆になっているので、これらの化合物は互いにエナンチオマーの関係にあるといえる。