ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

第82回薬剤師国家試験 問10
ephedrine[1]の異性体が、Fischerの投影図[2]から[4]で示してある。次の記述の正誤を判定してみよう。

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

a [1]と[2]及び[1]と[4]とはそれぞれ互いにdiastereomerの関係にある。

 

b [1]と[3]及び[2]と[4]とはそれぞれenantiomer(鏡像異性体)の関係にある。

 

c [2]と[4]の旋光度は、絶対値が等しく、正負の符号は逆である。

 

d [1]と[3]とはmeso体であるので、両者とも旋光性をもたない。

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第82回薬剤師国家試験 問10 解答解説
ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

まずは、[1]〜[4]の不斉中心の絶対配置を判別する。

 

不斉炭素は2つあるが、IUPAC命名法では−OHと−NH2では−OHの方が優先順位は高いので、母体はプロパン−1−olとなり、−OHの置換する炭素が1位となる。

 

不斉中心の絶対配置の判別の仕方については、下記のリンク先を参照
不斉中心の絶対配置の判別について

 

設問の構造式の描き方をフィッシャー投影式と呼ぶ。
フィッシャー投影式では、左右の線は紙面から手前に伸びる結合を示し、端の上下の線は紙面から奥側に伸びる結合を示し、端以外の上下の線は紙面上を伸びる結合を示す。

 

★参考外部サイトリンク
R,S 絶対配置(生命系のための理工学基礎さん)

 

絶対配置の表示法(薬学これでOKさん)

 

フィッシャー投影式|RS絶対配置の決定(生命系のための理工学基礎さん)

 

◆ [1]

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

((1R ,2S )-2-methylamino-1-phenylpropan-1-ol)

 

・1位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが反時計回りに並んでいるのでRである。よって、1R

 

 

・2位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが時計回りに並んでいるのでSである。よって、2S

 

 

 

◆ [2]

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

((1S ,2S )-2-methylamino-1-phenylpropan-1-ol)

 

 

・1位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが時計回りに並んでいるのでSである。よって、1S

 

 

・2位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが時計回りに並んでいるのでSである。よって、2S

 

 

 

◆ [3]

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

((1S ,2R )-2-methylamino-1-phenylpropan-1-ol)

 

 

・1位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが時計回りに並んでいるのでSである。よって、1S

 

 

・2位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが反時計回りに並んでいるのでRである。よって、2R

 

 

◆ [4]

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

((1R ,2R )-2-methylamino-1-phenylpropan-1-ol)

 

 

・1位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが時計回りに並んでいるのでRである。よって、1R

 

 

・2位について

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

CのHが手前にあり、@ABが反時計回りに並んでいるのでRである。よって、2R

 

 

[1] (1R,2S) [2] (1S,2S) [3] (1S,2R) [4] (1R,2R)
これを踏まえて各記述の解説をしていく。

 

これを踏まえて各記述の解説をしていく。

 

◆ aとbについて

 

a 〇 [1]と[2]及び[1]と[4]とはそれぞれ互いにdiastereomerの関係にある。

 

b 〇 [1]と[3]及び[2]と[4]とはそれぞれenantiomer(鏡像異性体)の関係にある。

 

 

ある2つの立体異性体について、全ての不斉中心の立体が互いに逆になっている時、これらの化合物は互いにエナンチオマー(鏡像異性体)の関係にあるといえる。

 

ある2つの化合物について、エナンチオマーの関係以外の立体異性体である場合、互いにジアステレオマーの関係にあるという。

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

★参考外部サイトリンク
立体異性体(wikipediaさん)

 

キラリティーと鏡像(光学)異性体(役に立つ薬の情報〜専門薬学さん)

 

 

◆ cについて
c 〇 [2]と[4]の旋光度は、絶対値が等しく、正負の符号は逆である。

 

平面偏光が物質を通過するとき、通過前後で偏光面が回転する現象のことを旋光と呼び、ある物質が旋光を起こす場合、この物質には旋光性があるまたは光学活性があると言い、旋光によって偏光面が回転する角度のことを旋光度という。

 

旋光度とエナンチオマーの関係について、
互いにエネンチオマーの関係にある2つの化合物において、同条件で、ある平面偏光について一方の旋光度がX°であったとすると、エネンチオマーの関係にあるもう一方の物質の旋光度は−X°となる。

 

[2]と[4]は互いにエナンチオマーの関係にあるので、[2]と[4]の旋光度は、絶対値が等しく、正負の符号は逆である。

 

また、[1]と[3]も互いにエナンチオマーの関係にあるので、[1]と[3]の旋光度は、絶対値が等しく、正負の符号は逆である。

 

★参考外部サイトリンク
旋光度測定と比旋光度(薬学これでOKさん)

 

 

◆ dについて
d × [1]と[3]とはmeso体であるので、両者とも旋光性をもたない。
→ 〇 [1] と[3] はメソ体(メソ化合物)ではないので、それぞれ旋光性を有する。

 

メソ体とは不斉中心を複数個(偶数個)有するが、分子内に対称面があり、光学活性のない(旋光性を示さない)化合物のことである。メソ体では、1つの化合物の中に、分子内対称面を境にして互いにエナンチオマーの関係であるような対称構造が存在している。よって、ある片方の対称構造で旋光が生じても、もう片方の対称構造が逆の旋光度の旋光を起こし、結果、旋光が互いに打ち消されるようなことが起こるからである。

 

下記の(2S,3R)-dibromobutaneは、2位炭素と3位炭素の間に対称面を描くことができるので、メソ体であり、キラリティーを示さないアキラルな化合物である。

 

ephedrineの異性体 Fischerの投影図 82回薬剤師国家試験問10

 

本問の[1]〜[4]の化合物は、いずれも、不斉中心を複数持つが分子内対称面を持たないので、旋光性を有する。

 

なお、互いにエナンチオマー(鏡像異性体)の関係にある[1]と[3]の等量混合物、および、[2]と[4]の等量混合物はラセミ体となるので、旋光性をもたない。

 

 

★参考外部サイトリンク
ラセミ体とメソ体(猫でもわかる有機化学さん)

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