d-メントールとl-メントールのH-NMRスペクトル 92回薬剤師国家試験問5c
第92回薬剤師国家試験 問5c
立体異性に関する次の記述の正誤を判定してみよう。
c d-メントールとl-メントールをそれぞれ重クロロホルム中、同条件で1H-NMRを測定すると、異なるスペクトルを与える。
第92回薬剤師国家試験 問5c 解答解説
◆ cについて
c × d-メントールとl-メントールをそれぞれ重クロロホルム中、同条件で1H-NMRを測定すると、異なるスペクトルを与える。
→ ○ d-メントールとl-メントールをそれぞれ重クロロホルム中、同条件で1H-NMRを測定すると、同じスペクトルを与える。
NMRスペクトルではHやCなどの原子の原子核の環境が反映される。化合物によって異なるスペクトルが描かれるのは、化合物ごとに原子の原子核の環境が違うからである。
d-メントール((+)-メントール)とl-メントール((−)-メントール)は互いにエナンチオマーの関係である(d体は右旋性、l体は左旋性)。
互いにエナンチオマーの関係にあるものは、互いに全ての不斉中心の立体が全く逆であるのだが、分子を構成する原子の原子核の環境は同じである。
したがって、互いにエナンチオマーの関係にあるもの同士では、それらのNMRスペクトルは完全に一致する。