分子間相互作用に関する記述 109回薬剤師国家試験問91

109回薬剤師国家試験 問91
分子間相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する。
2 分散力は分子間にはたらく反発力である。
3 水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による。
4 疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している。
5 核酸塩基対は配位結合により形成される。

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109回薬剤師国家試験 問91 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する。

 

静電的相互作用(イオン結合)における陽イオンと陰イオンとの間の引力は、
クーロン力(F)である。
クーロン力(F)と電荷間距離rとの関係について、
誘電率εの媒質中において、2つの電荷QとQ´が距離r 離れているとき、
この2つの電荷間に働くクーロン力(F)は、次式で表される。

 

109回薬剤師国家試験問91 分子間相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか

 

上式より、静電的相互作用(イオン結合)のクーロン力は、
イオン間距離の2乗に反比例し、媒体の誘電率に反比例する。

 

関連問題
静電的相互作用のエネルギーとイオン間距離・誘電率の関係 105回問98の4

 

 

◆ 2について
2 × 分散力は分子間にはたらく反発力である。
→ 〇 分散力は分子間にはたらく引力である。

 

分散力とは、ロンドン力とも呼ばれ、分子内電子雲の瞬間的なゆらぎが基で生じる、瞬間双極子−誘起双極子相互作用であり、
ファンデルワールス相互作用の引力に分類される。

 

関連問題
分散力とは 105回問98の1

 

 

◆ 3について
3 × 水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による。
→ 〇 水中における界面活性剤のミセル形成は、疎水性相互作用による。

 

水中において界面活性剤分子同士は、
外側に親水性基を向け、
内側に疎水性基を向け合う形で会合し、ミセルを形成している。
水中でのミセル形成は、疎水性基表面から水分子を排除するために、
疎水性基同士が会合するという疎水性相互作用が要因である。

 

関連問題
疎水性相互作用が働く仕組み 88回問8

 

 

◆ 4について
4 〇 疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している。

 

◆ 5について
5 × 核酸塩基対は配位結合により形成される。
→ 〇 核酸塩基対は水素結合により形成される。

 

DNA中のアデニン−チミン間、グアニン−シトシン間に塩基対が形成されるのは、水素結合によるものである。
DNAにおいて、アデニン−チミン間には2つの水素結合が形成され、
グアニン−シトシン間には3つの水素結合が形成される。

 

 

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