アルケンの臭素化反応とブロモニウムイオン中間体 第88回薬剤師国家試験問11d
第88回薬剤師国家試験 問11d
化学反応に関する記述の正誤を判定してみよう。
d 臭素を用いるアルケンの臭素化反応では、ブロモニウムイオン中間体が生成する。
第88回薬剤師国家試験 問11d 解答解説
d ○ 臭素を用いるアルケンの臭素化反応では、ブロモニウムイオン中間体が生成する。
★ アルケンの求電子付加反応
アルケンのC=Cはσ結合の上下にπ結合の電子雲が広がっているので、アルケンは電子豊富な構造である。
電子豊富なアルケンは求電子試薬と反応し、求電子付加反応を起こすことが多い。
★ アルケンに対するハロゲン分子(X2)の求電子付加反応
まず、臭素分子(Br2)のうちのδ+を帯びた片方のBr(Brδ+)に対してアルケンのπ電子が供与されてBrが付加し、中間体として三員環のブロモニウムカチオン(Br+)が生成する。
ハロゲンのような電気陰性度の大きい原子と結合する炭素原子は正に分極し、Cδ+となる。
次に、三員環を構成している正に分極したC(Cδ+)にブロモニウムアニオン(Br−)が求核付加するが、Br−がCδ+にアクセスする経路としてBr+のいない側(Br+がいる方とは逆側)の方がアクセスしやすい。Br+が上側にいればBr−は下側からアクセスして付加し、Br+が下側にいればBr−は上側からアクセスして付加する。このことから、2つのBrがanti付加することになる。