ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

第102回薬剤師国家試験 問8
ラジカル中間体を経る反応はどれか。1つ選びなさい。

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

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第102回薬剤師国家試験 問8 解答解説

 

正解
ラジカル中間体を経る反応は3である。

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

 

反応3はアルカンのラジカルハロゲン化であり、ラジカル中間体を経る。
ラジカルハロゲン化の機構については下記のリンク先を参照
アルカンのラジカルハロゲン化 第88回問11a

 

本問のNBS(N−ブロモスクシンイミド)は臭素分子(Br2)を発生させる。
Br2に紫外線の光エネルギーが与えられると、
Br2が均一開裂し(ホモリシス)、臭素ラジカル(Br・)が発生する。
それがラジカルハロゲン化の開始となる。
反応3のラジカルハロゲン化は下記のように進むと考えられる。

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

ベンジルラジカル(Ph−C・)やアリルラジカル(C=C−C・)は共鳴安定化するので、
ベンジル位やアリル位の水素がラジカルとして抜かれやすい。
そのため、設問の反応でもベンジル位でラジカルハロゲン化が起こっている。

 

 

以下、他の選択肢について

 

◆ 1について

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

反応1はアルコールを基質とする求核置換反応(SN)である。
求核置換反応(SN反応)として代表的なものにSN1反応とSN2反応がある。
反応機構は下記のリンク先を参照
SN1・SN2の反応機構 83回問7ab

 

本問の基質は第3級アルコールであり、
OHが脱離するとカルボカチオンの中では比較的安定性の高い3級カルボカチオンを生成するので、
SN1機構で進むと考えられる。
SN1反応はカルボカチオン中間体(C+)を経るが、ラジカル中間体は経ない。

 

反応1のSN1反応は下記のように進むと考えられる。

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

 

◆ 2について

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

反応2はハロゲン化アルキルの脱離反応である。
反応2ではハロゲン化アルキルに強塩基を加えることで、
基質からHとXが脱離してアルケンを生成しているこから、
E2反応であると考えられる。
E2反応の機構は下記のリンク先を参照
ハロゲン化アルキルのE2脱離反応 93回問8abc 

 

E2反応は一段階で済む段階であり、ラジカル中間体を経ない。

 

反応2のE2反応は下記のように進むと考えられる。

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

 

◆ 4について

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

反応4はハロゲン化アルキルを基質とする求核置換反応である。
求核置換反応(SN反応)として代表的なものにSN1反応とSN2反応がある。
反応機構は下記のリンク先を参照
SN1・SN2の反応機構 83回問7ab

 

本問の基質はハロゲン化メチルであり、
反応中心炭素の立体障害が小さいためSN2機構で進むと考えられる。
SN2反応は一段階で済む段階であり、ラジカル中間体を経ない。

 

反応4のSN2反応は下記のように進むと考えられる。

 

ラジカル中間体を経る反応はどれか 102回薬剤師国家試験問8

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第102回問8(e-RECさん)

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