アラビノースのアルドヘキソースへの変換 96回薬剤師国家試験問15

第96回薬剤師国家試験 問15
D-アラビノースに反応 I〜Vを行い、アルドヘキソースAとBに変換した。これに関する記述の正誤を判定してみよう。

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

 

反応I  D-アラビノースをHCNと反応させると、2種類のシアノヒドリンCとDが得られた。

 

反応U CとDをそれぞれ対応するイミンEとFに変換した。

 

反応V EとFをそれぞれ対応するアルドヘキソースAとBに変換した。

 

a 反応Iは置換反応である。
b 反応Uは酸化反応である。
c 反応Vは加水分解反応である。
d AはD-グルコースである。

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第96回薬剤師国家試験 問15 解答解説
◆ aについて

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

 

反応I  D-アラビノースをHCNと反応させると、2種類のシアノヒドリンCとDが得られた。

 

a × 反応Iは置換反応である。
→ 〇 反応Iは求核付加反応である。

 

アルデヒド・ケトン(R-CO-R)と求核試薬(Nu)の反応として一般に起こりやすいのは求核付加反応である。カルボニル(C=O)の炭素は正に分極しており(Cδ+)、そこへ求核試薬(Nu)が付加し、結果として、カルボニル構造は失われる。

 

アルデヒド・ケトンにシアン化水素(HCN)を反応させると、シアン化物イオン(NC:−)がカルボニル炭素に求核付加し、結果として、シアノヒドリン( −CH(OH)CN )が生成する。

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

 

D-アラビノースにシアン化水素(HCN)を反応させると、シアン化物イオン(−:CN)がカルボニル炭素に求核付加するが、その炭素は新たに不斉中心となるので、結果として、下記のCとDのシアノヒドリン( −CH(OH)CN )が生成する。

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

 

 

◆ bについて

 

反応U CとDをそれぞれ対応するイミンEとFに変換した。

 

b × 反応IIは酸化反応である。
→ 〇 反応IIは還元反応である。

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

 

反応UではCとDのニトリル(C三N)をイミン(HC=NH)へ変換している。
反応前後のシアノおよびイミンの炭素の電子密度について、反応により電気陰性度が相対的に小さい水素が結合し、電気陰性度が相対的に大きい窒素との結合が切れ、結果、炭素の電子密度が上昇している。よって、ニトリル(C三N)のイミン(HC=NH)への変換は還元反応である。

 

★ 有機化学における酸化・還元

 

有機化学における酸化とは、ある原子(通常は炭素)の電子密度が低下する反応を指す。その原子よりも相対的に電気陰性度が大きい原子との結合が形成される場合は酸化であり、例として、炭素に酸素・窒素・ハロゲンが結合することは酸化である。また、その原子よりも電気陰性度が小さい原子との結合が切れる場合も酸化に該当し、炭素−水素の結合が切れることは酸化である。

 

 

有機化学における還元とは、ある原子(通常は炭素)の電子密度が上昇する反応を指す。その原子よりも相対的に電気陰性度が小さい原子との結合が形成される場合は還元であり、例として、炭素−水素の結合が形成されることは還元である。また、その原子よりも電気陰性度が大きい原子との結合が切れる場合も還元に該当し、炭素と酸素・窒素・ハロゲンとの結合が切れることは還元である。

 

 

◆ cについて

 

反応V EとFをそれぞれ対応するアルドヘキソースAとBに変換した。

 

c ○ 反応Vは加水分解反応である。

 

反応VではEとFのイミンが加水分解され、アルデヒドが生成している。

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

 

 

◆ dについて
d ○ AはD-グルコースである。

 

96回薬剤師国家試験問15 アラビノースのアルドヘキソースへの変換

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