94回薬剤師国家試験問8 Grignard反応剤 (A:CH3CH2CH2CH2MgBr) の反応
94回薬剤師国家試験 問8
以下のGrignard反応剤 (A: CH3CH2CH2CH2MgBr) の反応a〜dの主生成物の構造が正しいか判定してみよう。ただし、すべての反応は終了後、適切な後処理を施してある。
94回薬剤師国家試験 問8 解答解説
◆ aについて
反応aの主生成物の構造は誤りである。
反応aでは、下記のように酸塩基反応が起こり、
C4H10のアルカンが生成する。
グリニャール試薬(R-MgX)では、
Mgと結合した炭素が負電荷を帯びており(C:−)、
カルボアニオン(R:−)として振る舞い、
基質に求核攻撃してアルキル化をする。
ただし、カルボアニオン(R:−)は強塩基でもあるため、
酸塩基反応も起こしやすく、
その場合、炭化水素(RH)になってしまい、
基質のアルキル化は起こらない。
水やアルコールに対してグリニャール試薬(RMgX)を用いると、
水やアルコールの酸性度は弱いが、カルボアニオン(R:−)は強塩基であるため、
酸塩基反応が起こり、水やアルコールのOHのHがカルボアニオンにプロトンとして引き抜かれ、
結果、グリニャール試薬は炭化水素(RH)となる。
設問の反応aについて、
H3CH2CH2CH2C MgBrと水との反応では、
H3CH2CH2CH2C:−のカルボアニオンが、水のOHのHをプロトンとして引き抜く酸塩基反応が起こり、
C4H10のアルカンが生成する。
◆ bについて
反応bでは、
下記のようにホルムアルデヒドとGrignard反応剤 のA(CH3CH2CH2CH2 MgBr)が反応し、
主生成物はペンタン-1-オールとなる。
詳細は下記のリンク先を参照
94回薬剤師国家試験問8のb
◆ cについて
反応cの主生成物の構造は正しい。
一般に、エーテルは求核試薬と反応しない。しかし、環状エーテルであるオキシラン(エポキシド)は環状であることからひずみが生じており、そのため、求核試薬との反応性が高まっており、求核攻撃を受けると開環する。
設問の反応cでは、グリニャール試薬由来のカルボアニオン(H3CH2CH2CH2C:−)が、オキシランのCδ+に対して求核攻撃し、オキシランが開環する。
◆ dについて
設問の図の主生成物の構造は誤りである。
設問の反応では、
下記の酸塩基反応が進行する。
詳細は下記のリンク先を参照
94回薬剤師国家試験問8のd