エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

第88回薬剤師国家試験 問13
日本薬局方医薬品エテンザミドの合成法と性質に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

a サリチル酸に無水メタノールを加えるだけで、容易に化合物Aが生成する。

 

b 化合物Aのメタノール溶液にアンモニアを加えると、化合物Bが生成する。

 

c 化合物Bのエチル化の際、phenoxide anionを生成させ、求核性を高める必要がある。

 

d エテンザミドの飽和水溶液は塩基性を示す。

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第88回薬剤師国家試験 問13 解答解説

 

◆ aについて

 

a × サリチル酸に無水メタノールを加えるだけで、容易に化合物Aが生成する。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

サリチル酸とメタノールを反応させ、エステルである化合物Aを生成する反応について、
カルボン酸とアルコールからエステルを合成する反応としてフィッシャーのエステル合成がある。
この反応では、酸触媒下で加熱する必要がある。

 

★ フィッシャーのエステル合成
カルボン酸(R1CO-OH)とアルコール(R2OH)を酸触媒下で加熱すると、求核アシル置換反応により、エステル(R1CO-OR2)と水が生成する。これをフィッシャーのエステル合成と呼ぶ。カルボン酸のカルボニル炭素はそのままだと求核試薬との反応性は高くないが、酸触媒によりカルボニルの酸素がプロトン化されると、カルボニル炭素の正電荷(Cδ+)が強まり、求核試薬との反応性が高まる。そこへアルコールまたはフェノールのヒドロキシ基が求核攻撃し、求核アシル置換反応の結果、エステルが生成する。
この反応は平衡反応であり、出発物のカルボン酸またはアルコールを大過剰にするか、もしくは、生成物のエステルまたは水を順次反応系の外へと取り出して反応系内で過少にすると、平衡は生成物に傾く。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

★ カルボン酸・カルボン酸誘導体を基質とした求核アシル置換反応

 

カルボン酸・カルボン酸誘導体を基質とする求核アシル置換反応については下記のリンク先を参照
カルボン酸・カルボン酸誘導体の求核アシル置換反応の概要

 

 

◆ bについて

 

b 〇 化合物Aのメタノール溶液にアンモニアを加えると、化合物Bが生成する。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

 

エステル(R1-CO-OR2)はアンモニアまたはアミン(HN(R3)R4)と加熱すると、求核アシル置換反応の結果、アミド(R1-CO- N(R3)R4)が生成する。ただし、第3級アミンは立体障害のため反応しない。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

 

カルボン酸誘導体の種類間の求核アシル置換反応の反応性について、反応性の高いものから、
酸ハロゲン化物>酸無水物>エステル>アミドと並ぶ。
一方、カルボン酸誘導体の安定性について、反応性の序列とは逆で、安定性の高いものから、
アミド>エステル>酸無水物>酸ハロゲン化物と並ぶ。

 

アミドはエステルよりも安定性が高いので、エステルからアミドの変換が進む。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

 

◆ cについて

 

c 〇 化合物Bのエチル化の際、phenoxide anionを生成させ、求核性を高める必要がある。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

記述cの反応はウイリアムソンのエーテル合成と呼ばれるもので、ハロゲンが結合して正に分極した炭素(Cδ+)を有するハロゲン化アルキルを基質とし、SN2機構で進行するエーテルの合成法である。
X−sp3炭素の構造を有するハロゲン化合物を基質とし、X−sp3炭素のCδ+に対してアルコキシドイオン(RO:-)やフェノキシドイオン(Ph−O:-)が脱離基であるハロゲン(X)のいない側から求核攻撃を行い付加すると同時にハロゲンが陰イオンとなって脱離するという反応が一段階で起こる。このSN2反応により、ハロゲンとアルコキシド(RO)またはフェノキシド(Ph−O)が置換したエーテルが生成する。

 

アルコール(R−OH)やフェノール性ヒドロキシ基(Ph−OH)は分子形のままでは求核性が低いので、塩基を反応させて脱プロトン化し、アルコキシドイオン(R−O:-)やフェノキシドイオン(Ph−O:-)にして求核性を高める必要がある。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

 

◆ dについて

 

d × エテンザミドの飽和水溶液は塩基性を示す。

 

エテンザミドの合成法 第88回薬剤師国家試験問13

 

エテンザミドは官能基としてアミドまたはエーテルを有するが、これらは中性である。

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