アルカンのラジカルハロゲン化 第88回薬剤師国家試験問11a
第88回薬剤師国家試験 問11a
化学反応に関する記述の正誤を判定してみよう。
a 塩素と紫外線を用いるアルカンの塩素化反応は、炭素ラジカル中間体を経由する連鎖反応である。
第88回薬剤師国家試験 問11a 解答解説
◆ aについて
a ○ 塩素と紫外線を用いるアルカンの塩素化反応は、炭素ラジカル中間体を経由する連鎖反応である。
ハロゲンと紫外線によるアルカンのハロゲン化反応はラジカル反応であり、次のように連鎖的に進む。
(1)開始
ハロゲン分子(X2)に紫外線の光エネルギーが与えられ、X−X結合が均一開裂し(ホモリシス)、ハロゲンラジカル(X・)が生成する。
(2)成長
ハロゲンラジカル(X・)がアルカンから水素をラジカルとして引き抜き、ハロゲン化水素(HX)とアルカンの炭素ラジカル(C・)を生じる。炭素ラジカル(C・)はハロゲン分子(X2)と反応して、ハロゲン化アルキル(RX)とハロゲンラジカル(X・)を生じる。ハロゲンラジカル(X・)がアルカンと反応すると、同じラジカル反応が繰り返される。
(3)停止
ラジカル同士が反応すると、分子のみが生成して新たなラジカルを生成しないので、ラジカル連鎖反応は停止する。
炭素ラジカルの安定性と基質のラジカル反応の反応性の関係については、
下記のリンク先を参照
炭素ラジカルの安定性と反応性の関係