求核剤に対する反応性が最も高いカルボニル化合物はどれか 第106回薬剤師国家試験問7
第106回薬剤師国家試験 問7
求核剤に対する反応性が最も高いカルボニル化合物はどれか。1つ選びなさい。
第106回薬剤師国家試験 問7 解答解説
求核剤に対する反応性が最も高いカルボニル化合物は4の酸塩化物である。
カルボニル(C=O)の炭素は正に分極してCδ+となっており、求核剤による求核攻撃を受ける。
カルボニル炭素の正の分極(δ+)が大きいほど、求核剤に対する反応性は高い。
カルボニル炭素の置換基の電子効果と求核剤に対する反応性の関係は以下の通り。
・カルボニル炭素の置換基が電子求引性電子効果を与える場合、カルボニル炭素の正の分極(δ+)が大きくなり、求核剤との反応性は高くなる。
・カルボニル炭素の置換基が電子供与性電子効果を与える場合、カルボニル炭素の正の分極(δ+)が小さくなり、求核剤との反応性は低くなる。
置換基による電子効果については、下記のリンク先を参照
誘起効果・共鳴効果とは?
4の酸塩化物では、ハロゲンである塩素が電子求引性の誘起効果(−I)と電子供与性共鳴効果(+R)を与えるが、塩素では求引性誘起効果が上回るため、総合的に電子求引効果を与える。そのため、酸塩化物ではカルボニル炭素の正の分極(δ+)が大きくなり、求核剤との反応性が高まっている。
4以外のカルボニル化合物では、カルボニル炭素の置換基が電子供与性電子効果を与え、程度の差はあれカルボニル炭素の正の分極(δ+)を小さくしているので、4の酸塩化物に比べて求核剤との反応性は低い。
以上より、4の酸塩化物のカルボニル炭素は求核剤との反応性が最も高い。・
以下、補足説明
★ カルボン酸誘導体の反応性の比較
下記のリンク先を参照
カルボン酸誘導体の反応性・安定性の序列とその理由
★ アルデヒドとケトンの求核剤との反応性の比較
下記のリンク先を参照
アルデヒドとケトンの求核剤との反応性の比較
★他サイトさんの解説へのリンク
第106回問7(e-RECさん)