108回薬剤師国家試験問9 カルボニル化合物の反応のうち、主生成物に不斉炭素が生じるのはどれか
108回薬剤師国家試験 問9
以下のカルボニル化合物の反応のうち、主生成物に不斉炭素が生じるのはどれか。1つ選びなさい。
ただし、すべての反応は終了後、適切な後処理を施していることとする。
108回薬剤師国家試験 問9 解答解説
主生成物に不斉炭素が生じるのは、
4の反応である。
アルデヒドまたはケトンと求核試薬との反応では、
一般に求核付加反応が起こりやすい。
アルデヒド・ケトンに対してシアン化水素(HCN)を反応させると、
シアン化物イオン(−:CN)がカルボニル炭素に求核付加し、
結果として、シアノヒドリン( −C(OH)CN )が生成する。
反応の詳細は下記のリンク先を参照
アルデヒド・ケトンとシアン化水素の反応の反応機構 92回問9f
4の反応は下記のように進行し、
最終的に反応中心のカルボニル炭素が不斉炭素(*)となる。
◆ 1について
アルデヒド・ケトンにLiAlH4やNaBH4を反応させると、
ヒドリドイオン(H:−)がカルボニル炭素に求核付加し、C=OがCH−O:‐となり、
その後に酸処理すると、CH−OHのアルコールとなる。
反応の詳細は下記のリンク先を参照
アルデヒド・ケトンとNaBH4の反応機構 85回問5e
1の反応は下記のように進行し、
主生成物に不斉炭素は生じない。
◆ 2について
2の反応は、ケトンのグリニャール反応である。
反応の詳細は下記のリンク先を参照
アルデヒド・ケトンとグリニャール試薬の反応 94回問8b
2の反応は下記のように進行し、
主生成物に不斉炭素は生じない。
◆ 3について
カルボン酸またはカルボン酸誘導体と求核試薬との反応では、
一般に求核アシル置換反応が起こりやすい。
3の反応では、エステルに対するLiAlH4由来のヒドリドイオン(H−)による還元反応が起こる。
反応の詳細は下記のリンク先を参照
エステルのLiAlH4によるヒドリド還元 89回問12d
3の反応は下記のように進行し、
主生成物に不斉炭素は生じない。
◆ 5について
酸触媒下、アルデヒド・ケトンに対してアルコール(ROH)を反応させると、2分子のアルコールが求核付加し、アセタールが生成する。アセタールとは、1つの炭素に2つのエーテル結合(―OR)が存在する構造を指す。
反応の詳細は下記のリンク先を参照
アルデヒド・ケトンとアルコールの反応 92回問9a
5の反応は下記のように進行し、
主生成物に不斉炭素は生じない。
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