エステルのLiAlH4によるヒドリド還元でアルコール生成 反応機構 89回薬剤師国家試験問12d
第89回薬剤師国家試験 問12d
安息香酸誘導体に関する記述dの正誤を判定してみよう。
d 安息香酸エチルを水素化アルミニウムリチウムにて還元すると、ベンズアルデヒドが主生成物として得られる。
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第89回薬剤師国家試験 問12d
d × 安息香酸エチルを水素化アルミニウムリチウムにて還元すると、ベンズアルデヒドが主生成物として得られる。
→ 〇 安息香酸エチルを水素化アルミニウムリチウムにて還元すると、ベンジルアルコールが主生成物として得られる。
設問の反応はエステルに対するテトラヒドリドアルミン酸リチウム(LiAlH4)由来のヒドリドイオン(H−)による還元である。
カルボン酸またはアミド以外のカルボン酸誘導体(R1-CO-L)にLiAlH4を反応させると、ヒドリドイオン(H−)による求核アシル置換反応の結果、R1-CO-Lにおいて脱離基(L)が水素(H)に置換したアルデヒド(R1-CO-H)が生成する。さらに、生成したアルデヒド(R1-CO-H)に対してヒドリドイオン(H−)が求核付加してアルコキシドイオンが生成し、続いてそれがプロトン化され、最終的にアルコール(R1-CH2-OH)を生成する。
設問の安息香酸エチルに対する水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)を用いたヒドリド還元は下記のように進む。安息香酸エチルからベンズアルデヒドを生成し、さらに還元されてベンジルアルコールを生成する。
なお、低温下、緩和な還元剤である水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL:ジバール)でエステルを還元すると、還元をアルデヒドまでで留められる。
ちなみに、アミド(R1-CO-NR2R3)に対するテトラヒドリドアルミン酸リチウム(LiAlH4)由来のヒドリドイオン(H−)による還元では、アミン(R1-CH2-NR2R3)が生成する。
カルボニルのヒドリド還元剤の選択については下記のリンク先を参照
ヒドリド還元剤の選択について