酸塩化物,酸無水物,エステル,アミドの反応性 83回薬剤師国家試験問9ア

第83回薬剤師国家試験 問9ア
benzoic acid誘導体 a 〜 d に関する下記の記述ア,ウ,オの正誤を判定してみよう。

 

酸塩化物,酸無水物,エステル,アミドの反応性の比較 83回問9ア

 

ア.アシル化剤としての反応性は、c、a、d、bの順である。

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第83回薬剤師国家試験 問9ア 解答解説

 

ア.× アシル化剤としての反応性は、c、a、d、bの順である。
→ 〇 アシル化剤としての反応性は、高い方ものから、
c(酸塩化物)>d(酸無水物)>a(エステル)>b(アミド)の順である。

 

酸塩化物,酸無水物,エステル,アミドの反応性の比較 83回問9ア

 

 

カルボン酸誘導体(R-CO-L)は求核試薬(Nu)と反応し、求核アシル置換反応の結果、R-CO-Nuを生成する。これより、カルボン酸誘導体(R-CO-L)は求核剤(Nu)のアシル化剤とみなせる。

 

酸塩化物,酸無水物,エステル,アミドの反応性の比較 83回問9ア

 

 

カルボン酸誘導体の種類間の求核アシル置換反応の反応性について、反応性の高いものから(反応速度が速いものから)、
酸ハロゲン化物>酸無水物>エステル>アミドと並ぶ。
一方、カルボン酸誘導体の安定性について、反応性の序列とは逆で、安定性の高いものから、
アミド>エステル>酸無水物>酸ハロゲン化物と並ぶ。

 

酸塩化物,酸無水物,エステル,アミドの反応性の比較 83回問9ア

 

カルボン酸誘導体(R-CO-L)の求核アシル置換反応の反応性は、カルボニル炭素の正電荷(Cδ+)が強いほど反応性が高い。カルボニルの置換基(L)がsp2炭素のカルボニル炭素に電子供与性電子効果を与えるならば、カルボニル炭素の正電荷は弱まり反応性は低くなる。アルコキシド(OR)やアミン(NR)はsp2炭素に電子供与性共鳴効果を与えるので、エステルやアミドのカルボニル炭素は反応性が低い。
一方、カルボニルの置換基(L)がsp2炭素のカルボニル炭素に電子求引性電子効果を与えるならば、カルボニル炭素の正電荷は強まり反応性は高くなる。ハロゲンは電子求引性の誘起効果を与えるので、酸ハロゲン化物のカルボニル炭素は反応性が高い。

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