エステルとアンモニアを加熱するとアミドが生成 87回薬剤師国家試験問13b
第87回薬剤師国家試験 問13b
日本薬局方医薬品ニコチン酸アミドの合成法に関する記述bの正誤を判定してみよう。
b ニコチン酸をエタノールと酸でエステル化し,次いでエタノール性アンモニアと加熱する。
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第87回薬剤師国家試験 問13b 解答解説
b ○ ニコチン酸をエタノールと酸でエステル化し,次いでエタノール性アンモニアと加熱する。
エステル(R1-CO-OR2)とアンモニアまたは1級・2級アミン(HN(R3)R4)を加熱して反応させると、求核アシル置換反応の結果、アミド(R1-CO-N(R3)R4)とアルコール(R2-OH)が生成する。エステルは反応性が低いので、反応を進めるには加熱が必要である。反応性の高い酸塩化物や酸無水物とアミンからアミドを生成する場合に比べ、エステルのアミド化の反応速度は遅い。
設問の反応について、カルボン酸とアルコールを酸触媒存在下で加熱すると、求核アシル置換反応の結果、エステルが生成する。これをフィッシャーのエステル合成と呼ぶ。カルボン酸は求核剤との反応性が低いため、カルボニル酸素を酸触媒でプロトン化してカルボニル炭素の正電荷(Cδ+)を強めて求核剤との反応性を高め、さらに、加熱をする必要がある。ニコチン酸とエタノールによるフィッシャーのエステル合成は次の通り。
エステルとアンモニアを加熱すると、求核アシル置換反応の結果、アミドが生成する。