アミドの酸性・塩基性条件下での加水分解の反応機構 85回薬剤師国家試験問14b

第85回薬剤師国家試験 問14b
アミドに関する次の記述bの正誤を判定してみよう。

 

b アミドは酸又は塩基の水溶液と加熱すると加水分解され、カルボン酸とアミンになる。

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第85回薬剤師国家試験 問14b 解答解説

 

b ○ アミドは酸又は塩基の水溶液と加熱すると加水分解され、カルボン酸とアミンになる。

 

アミドは酸性水溶液でも塩基性水溶液でも加水分解され、カルボン酸とアミンになる。ただし、アミドは安定性が高く反応性が低いため、長時間の加熱を必要とする。

 

(1) アミドの酸性条件下での加水分解
酸性条件でのアミドの加水分解では、アミド(R1-CO-N(R2)R3)のカルボニル酸素が酸触媒によってプロトン化され、カルボニル炭素の反応性が高まったところに水分子が求核攻撃し、求核アシル置換反応の結果、カルボン酸(R1-COOH)とアミン(NH(R2)R3)を生成する。酸触媒によるアミドの加水分解は、出発物のアミドと水分子の安定性が高いため、平衡反応である。

 

アミドの酸性・塩基性条件下での加水分解の反応機構 85回問14b

 

 

(2) アミドの塩基性条件下での加水分解(けん化)
塩基性条件でのアミドの加水分解では、アミド(R1-CO-N(R2)R3)に対して水酸化物イオン(OH−)が求核攻撃し、求核アシル置換反応の結果、カルボキシラートイオン(R1-COO−)の塩とアミン(NH(R2)R3)を生成する。よって、反応を進めるにはアミドと当量のOH−が必要である(触媒量では不十分)。塩基性条件でのアミドの加水分解は、出発物のOH−の安定性が低いため、不可逆反応である。反応後、酸処理でカルボン酸(R1-COOH)が得られる。

 

アミドの酸性・塩基性条件下での加水分解の反応機構 85回問14b

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