カルボン酸無水物の反応性 90回薬剤師国家試験問7c
第90回薬剤師国家試験 問7c
カルボン酸及びその誘導体に関する記述cの正誤を判定してみよう。
c 2分子のカルボン酸から脱水縮合反応により導いたカルボン酸無水物は、 もとのカルボン酸よりも、求核剤との反応が進行しにくい。
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第90回薬剤師国家試験 問7c 解答解説
c × 2分子のカルボン酸から脱水縮合反応により導いたカルボン酸無水物は、 もとのカルボン酸よりも、求核剤との反応が進行しにくい。
→ 〇 2分子のカルボン酸から脱水縮合反応により導いたカルボン酸無水物は、 もとのカルボン酸よりも、求核剤との反応が進行しやすい。
カルボン酸無水物(R-CO-O-CO-R)はカルボン酸(R-COOH)よりも求核剤との反応性が高い。
カルボン酸・カルボン酸誘導体(R-CO-L)と求核試薬(Nu)との反応として一般に起こりやすいのは求核アシル置換反応である。
カルボン酸・カルボン酸誘導体を基質とする求核アシル置換反応については下記のリンク先を参照
カルボン酸・カルボン酸誘導体の求核アシル置換反応の概要
カルボン酸は比較的に求核剤との反応性は低い。
一方、カルボン酸無水物は比較的に求核剤との反応性は高い。
なお、カルボン酸無水物(R-CO-O-CO-R)の合成法としては、酸塩化物(R-CO-Cl)に対してカルボン酸(R-COOH)またはカルボキシラートイオン(R-COO:−)を求核攻撃させ、求核アシル置換反応の結果、酸無水物を生成するのが有用である。問題文のように2分子のカルボン酸の脱水縮合反応で酸無水物を生成するのは一般的ではない。分子内で互いに反応できる距離にある2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸は、加熱脱水して分子内縮合で酸無水物に変換できる。