92回薬剤師国家試験問29 アスコルビン酸の定量法
92回薬剤師国家試験 問29
日本薬局方アスコルビン酸の定量法に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
「本品を乾燥し、その約0.2 gを精密に量り、メタリン酸溶液(1→50)50 mLに溶かし、0.05 mol/Lヨウ素液で滴定する」
a ここで「精密に量る」とは、指示された数値の質量をそのけた数まで量ることを意味する。
b メタリン酸は、アスコルビン酸の安定化のために加えられる。
c アスコルビン酸は、この滴定の反応によってデヒドロアスコルビン酸となる。
d 指示薬として、エリオクロムブラックT塩化ナトリウム指示薬が用いられる。
92回薬剤師国家試験 問29 解答解説
◆ aについて
a × ここで「精密に量る」とは、指示された数値の質量をそのけた数まで量ることを意味する。
質量を「精密に量る」とは,
量るべき最小位を考慮し,
0.1 mg,0.01 mg,0.001 mg又は0.0001 mgまで量ることを意味し、
これは、記載された質量の1000分の1の桁まで量ることを示す。
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「精密に量る」「正確に量る」とは 99回問96の1
◆ bについて
b 〇 メタリン酸は、アスコルビン酸の安定化のために加えられる。
メタリン酸は金属封鎖型の酸化防止剤であり、
共存する金属イオンと錯体を形成して除去し、
アスコルビン酸の酸化を防止する。
◆ cについて
c 〇 アスコルビン酸は、この滴定の反応によってデヒドロアスコルビン酸となる。
この反応は、ヨウ素(I2)を酸化剤、アスコルビン酸を還元剤とする酸化還元反応であり、
アスコルビン酸はヨウ素によって酸化され、
デヒドロアスコルビン酸となる。
◆ dについて
d × 指示薬として、エリオクロムブラックT塩化ナトリウム指示薬が用いられる。
この滴定では指示薬としてデンプン試液を用いる。
当量点前でI2が消費される間は溶液の色は無色である。
当量点に達し、未反応のI2が生じると、
I2とデンプンの電荷移動錯体が生じ、
青紫色を呈する(デンプンのらせん構造にI2が入り込む包接化合物を生じ青紫色を呈する)。