生理食塩液中の塩化ナトリウムの定量法 ファヤンス法の原理 103回薬剤師国家試験問97
103回薬剤師国家試験 問97
生理食塩液は、塩化ナトリウムを0.9 w/v%含む等張液である。
日本薬局方「生理食塩液」中の塩化ナトリウム(式量:58.44)の定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 下線部の操作で用いられる計量器具は、メスシリンダーである。
2 Aに入るのは、フルオレセインナトリウムである。
3 生理食塩液1L中には、塩化ナトリウムが15.4 mmol 含まれる。
4 滴定終点においては、過剰な銀イオンと指示薬からなる赤褐色の沈殿を生じる。
5 0.1mol/L 硝酸銀液1mLに対する塩化ナトリウムの対応量は5.844mgである。
103回薬剤師国家試験 問97 解答解説
◆ 1について
1 × 下線部の操作で用いられる計量器具は、メスシリンダーである。
→ 〇 下線部の操作で用いられる計量器具は、全量ピペット(ホールピペット)である。
試料溶液を正確に量り取る場合には全量ピペット(ホールピペット)を用いる。
正確に量り取る場合にメスシリンダーは用いられない。
詳細は下記のリンク先を参照
正確に量るための器具 103回問97の1
◆ 2,4について
2 〇 Aに入るのは、フルオレセインナトリウムである。
4 × 滴定終点においては、過剰な銀イオンと指示薬からなる赤褐色の沈殿を生じる。
→ 〇 滴定終点においては、AgClを過剰となった銀イオン(Ag+)が取り囲み、そこへ指示薬のフルオレセイン(Flu-)が吸着して紅色の沈殿を生じる。
詳細は下記のリンク先を参照
ファヤンス法の原理 103回問97の2,4
◆ 3について
3 × 生理食塩液1L 中には、塩化ナトリウムが15.4 mmol 含まれる。
→ 〇 生理食塩液1L 中には、塩化ナトリウムが154 mmol 含まれる。
生理食塩液は、塩化ナトリウムを0.9 w/v%含むので、
1L中の塩化ナトリウムの物質量は下記のように計算できる。
◆ 5について
5 〇 0.1mol/L 硝酸銀液1mLに対する塩化ナトリウムの対応量は5.844mgである。
下記の反応式の通り、
塩化ナトリウムと硝酸銀はモル比1:1で反応する。
NaCl + AgNO3 → AgCl + NaNO3
0.1mol/L硝酸銀液1mLに含まれる硝酸銀は0.1mmolである。
0.1mmolの硝酸銀は0.1mmolの塩化ナトリウムに対応する。
本問では塩化ナトリウムの分子量を58.44とするので、
0.1mmolの塩化ナトリウムの質量は、
0.1mmol×58.44 (g/mol)= 5.844mg
したがって、
0.1mol/L硝酸銀標準液1mLに対する塩化ナトリウムの対応量は下記の通り。
0.1mol/L硝酸銀液1mL = 5.844mg 塩化ナトリウム
★ 別解:式による対応量の計算
対応量(mg)は下記の計算式を用いても計算できる。
本問では、塩化ナトリウムと硝酸銀の反応について、
塩化ナトリウム(目的成分)の化学当量は1、
硝酸銀(標準液の成分)の化学当量は1である。
硝酸銀標準液の濃度は0.1mol/L、
アスピリンの分子量は58.44であるので、
対応量(mg)は式を用いて下記のように計算できる。
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